新型ウイルス、産業にも打撃 宿泊施設キャンセル続出 飲食店も宴会自粛ムードに苦慮 気仙
令和2年3月1日付 7面
感染拡大が続く新型コロナウイルスが、気仙の観光業界など産業面にも大きな影響を与えている。宿泊施設では宴会や宿泊のキャンセルが相次ぎ、関係者が影響の長期化を懸念している。歓送迎会シーズンに入る中、居酒屋や飲食店でも宴会を見合わせる動きが見られ、店側は臨時休業も視野に入れるなど苦慮している。国内外で感染者の増加が止まらず、影響範囲が日々拡大している状況に、関係者が神経をとがらせている。
影響長期化を懸念
大船渡市内の宿泊施設では、団体の研修旅行の宿泊・宴会を見合わせる連絡があり、昨年同時期と比べてキャンセル件数は明らかに多いという。担当者は「遠出すること自体にブレーキがかかっていることが痛手。早く感染が収まってくれれば」と願う。
別の宿泊施設でも、2月初旬ごろからキャンセルが増え始めた。団体の宴会など、これまでに計約250人ほどのキャンセルがあったという。
3、4月の歓送迎会シーズンを前に漂う自粛ムード。あるホテルの従業員は「キャンセルはあってもお客さまはいる。過度な不安を感じさせないような対応を心がける」と前置きしたうえで、「収束の見通しがついておらず、このままではかき入れ時の春にさらに影響が出てしまう」と先行きを不安視する。
農・漁業を体験できる民泊の拡充に力を入れている陸前高田市では5月以降、全国からの修学旅行生の受け入れが本格化する。
受け入れ窓口を担う一般社団法人・マルゴト陸前高田によると、5月から関東圏に加え、宮城県、京都府の計7中学・高校の延べ1300人程度が同市を訪れる計画。現時点で学校側から中止の連絡は受けていないが、同法人の古谷恵一理事は「キャンセルとなった場合の対応も確認しておかなければいけない」と話す。
同法人はこれとは別に今月から4月にかけて企業研修や校外学習で計4件の受け入れを予定していたが、すべてキャンセル。古谷理事は「痛手ではあるが、お客さまの安全が第一。感染防止を最優先するのは仕方がない」と受け止めている。
同市広田町を拠点に活動するNPO法人SETは、同法人の主要事業として首都圏などの大学生を募って実施している春の滞在型交流研修「チェンジメーカースタディプログラム」の中止を決定。およそ120人の若者が広田を訪れ、延べ600人の地元住民と交流する予定だったが、新型肺炎は高齢者が重篤化しやすいといわれることから、高齢化率の高い地域性を鑑み、苦渋の決断を下した。
春と夏に実施される同プログラムは、同法人の収益のほとんどを占める経営の屋台骨。三井俊介代表理事(31)は、「春の中止だけでも経営的には1000万円近い損失となり、事業を継続できなくなる瀬戸際にいる」と危機感を募らせ、倒産回避のため同法人のフェイスブックなどを通じて寄付を募っている。
同市内にある居酒屋では、今月の団体予約の取りやめが相次いでいる。店主(59)は「気仙地区でも催しを控える動きが見られ、その結果、イベント後の打ち上げで利用予定だったお客さまからのキャンセルが増えている」と話す。
キャンセルは、2月28日時点で20人単位が6件、4〜5人単位が3件となっており、「今後も増えていくのでは」と懸念する。
店主は「店内の除菌や、利用客に手洗いうがいを徹底させるなどの対策はしているが、万が一の時には、休業も視野に入れている。落ち着くまでは、我慢の毎日が続くだろう」と話している。





