子どもの〝居場所〟どこに 小中学校の休校始まる 新型ウイルス対応に追われる学童施設 大船渡

▲ 大船渡小敷地内の「うみねこキッズ」は低学年児童のみ利用

勉強や工作をして過ごす「おともっこ」の子どもたち

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策で、気仙3市町の小中学校では3日、一斉に休校が始まった。これを受け、子どもたちは自宅や開所を決めた放課後保育施設などに滞在。各施設では感染症対策の徹底や人員のやりくりに苦労しながらも、長期休業中と同様の〝居場所〟確保にあたっている。

 

 安倍晋三首相が先月27日、全国すべての小中高校や特別支援学校に今月2日から春休みまでの休校を要請。気仙3市町の小中学校はいずれも、休校期間中における生活面などの指導、周知徹底を行ったうえで、3日から休校とした。
 各市町教委では保護者に対して「児童・生徒の不要不急の外出は自粛し、自宅待機するよう指導を」と要請。一方、厚生労働省では放課後児童クラブの開所を求めてきた。
 大船渡市内には11の学童児童クラブがあり、市子ども課は「基本的には開所を」と各施設に呼びかけ。3日は10クラブが開所し、多くが長期休業中と同様の体制で児童を受け入れた。休所した1クラブも、休校期間中の開所に向けて協議を進めている。
 大船渡小学校敷地内にある放課後児童クラブ「うみねこキッズ」では1~6年生計64人が登録しているが、同日からは対象を1~3年生38人に限定。狭い空間で過ごす時間が長くなるため、感染拡大防止にも配慮した。
 午前7時30分ごろから続々と児童が訪れ、15人が利用。夏休みや冬休み時期の利用状況に比べると、やや少ないという。
 同クラブの指導員は「祖父母に見てもらうといった保護者も多かったようだ」と語る。中には、泊まりがけで祖父母宅に滞在している児童もいるという。
 児童のマスク着用や手洗いは、これまでもインフルエンザ予防として励行。過ごし方は土曜日や長期休業中とほぼ同じだが、学校から保護者向けの通達に沿い、通常よりも長めに自習時間を確保する。天候が良ければ、グラウンドで体を動かす時間も設ける。開所時間は午後6時30分まで。
 3日からは新たに1日2回検温を行うなど、体調管理を徹底。一方、マスクや手指用のアルコール消毒液の品不足状態が続く中、保護者、運営関係者とも確保には苦労しており、感染予防対策の長期化には不安も抱える。
 陸前高田市の小友小学校内にある放課後児童クラブ「おともっこ」は同日、20人余りの児童が利用。校舎の一角に子どもたちの声が響いた。
 市内8カ所の学童クラブは、休校措置が始まった同日から春休み対応を急きょ前倒しする形で開所。支援員や補助員のシフト調整が課題となる中、市は必要な場合は職員を派遣する対応もとることとしている。
 おともっこを利用した子どもたちは、学校の宿題や自分で選んだ学習ドリル、本などをそれぞれ持ち寄って机に向かうなどした。3年生の女子児童は「学童が開いてよかった。宿題を終わらせて、みんなと楽しくいたい」と笑顔で話していた。
 同クラブの支援員、補助員は8人体制。国の休校措置方針を受け、緊急の役員会と保護者会を開催し、受け入れのあり方や指導員・補助員のシフトなど、対応について協議を重ねた。
 村上勝義会長(43)は「児童の健康と安全を最優先して運営する。休校措置は仕方のないことだと受け止めているが、あまりにも急な決定で準備期間が短すぎた」と話す。
 当面は午前7時30分から午後6時40分まで開所。登所前に各家庭で体温を測り、児童か同居の家族に発熱がみられる場合は利用を禁止。市内や気仙地区内で感染が確認された際は、場合によって行政の判断を待たず閉所する方針も決めた。
 また、普段の長期休業より期間が長くなることが見込まれる中、支援員らの負担軽減の観点からも、保護者には自宅で対応可能な際には利用を控える、または早めの帰宅などで利用時間を短縮するよう協力を呼びかけている。
 住田町の世田米学童クラブは、町教委からの要請に基づき、3日からの「原則休所」を決めた。しかし、同日は「どうしても見てもらいたい」という保護者に対応し、午前から児童数人を受け入れた。4日以降も、同様の対応をとるという。