新川口橋、20日開通へ 市道盛川右岸線から接続 大船渡

▲ 20日から供用開始となる新川口橋㊧(大船渡土木センター提供)

かさ上げされた市道盛川右岸線

 東日本大震災の津波で護岸崩壊や破堤などの被害が出た大船渡市の盛川で、県による災害復旧工事が着々と進んでいる。復旧工事の一環として整備が行われてきた河口部の新川口橋の本体が完成し、20日(金)には盛川右岸沿いから新たな橋に接続となるルートが開通する見込みとなった。

 

「災害に強い道」整備

 

 盛川は大船渡市内を貫流し、大船渡湾へと注ぐ流域面積12万9000平方㍍、流路延長17㌔の2級河川。被災前、河口部両岸には過去の津波対策を踏まえた被害軽減策としてT・P+3・4㍍の堤防が設けられていた。
 東日本大震災では津波が河口から約4㌔以上さかのぼり、堤防は延長2500㍍以上が破損する被害を受けた。
 県は平成23年度に盛川の災害復旧に事業着手。復旧延長は右岸側が河口部から2346・8㍍、左岸側が同1012・6㍍。堤防工事は原型復旧区間とかさ上げ区間に分けられ、かさ上げされたのは右岸が川口橋から佐野橋までの約1㌔、左岸は川口橋より上流の706・9㍍。堤防高は明治三陸大津波を設計対象津波とし、せり上がりを考慮した津波の水位などを算定したうえでT・P+7・5㍍とした。
 川口橋は震災による大きな被害はなかったものの、盛川堤防のかさ上げを受け、架け替えが必要となった。
 架け替え工事では、既設の橋から約20㍍上流側に新しい橋を設置。川口橋は大船渡町と赤崎町を結ぶ交通の要所で、盛川にかかる橋の中では最下流部に位置。全長は157㍍で、二つの橋脚が橋桁を支えている。
 新たな橋は既設の橋と同じ鉄製で、全長182・1㍍。堤防のかさ上げに伴って橋面高は現在のT・P+6㍍から、最も高い部分ではT・P+11・8㍍と倍近い高さに。片側1車線通行で、歩道含む幅員は約11㍍。本体工事はすでに完了し、現在は橋の前後の道路のでガードレールといった安全設備設置作業が行われている。
 20日から供用開始となるのは、盛川右岸沿いを走る市道盛川右岸線を通って新川口橋をわたるルート。盛川右岸線は延長約200㍍を改良し、既存道路から約7㍍かさ上げして新川口橋へと接続されている。
 市道盛川右岸線の開通に伴い、大船渡町方面から赤崎町へと向かうための旧大船渡商工会議所周辺を迂回(うかい)するルートは通行不可となる。
 県沿岸広域振興局大船渡土木センター復興まちづくり課の阿部忠課長は、「地域の安心安全のために整備を進めてきた災害に強い道路がまもなく供用開始となる。多くの方にご利用いただければ」と話している。
 残る市道野々田川口橋線から新川口橋の接続ルートについては、今年7月末の供用開始を目指して工事が進められている。