養殖実習の新年度再開へ 六ケ浦漁港の艇庫完成 高田高海洋システム科 陸前高田

▲ 六ケ浦漁港に再建された艇庫に加え、新たに2階建ての講義棟(手前)も整備

 東日本大震災の津波で全壊した県立高田高校(須川和紀校長)海洋システム科の実習艇庫が陸前高田市広田町の六ケ浦漁港内に再建され、新年度から供用を開始する。震災発生から11日で9年。4月からこれまで中断していたカキやホタテの養殖実習を始められることとなり、同科の生徒たちが地元の広田湾で学習を深めていく。

 

津波で全壊し現地に再建

 

 艇庫は震災前とほぼ同じ場所に再建し、六ケ浦漁港の防潮堤整備の進ちょくを踏まえ、昨年7月に着工、2月に完成。鉄骨造平屋建てで、広さは180平方㍍。隣には鉄骨造2階建て、延べ床面積166平方㍍の講義棟も新たに整備した。総事業費は8115万円。
 津波で校舎が全壊した高田高。大船渡市立根町の大船渡東高萱中校舎(旧大船渡農業高)を間借りして授業を行い、高田町の高台に移転新築した校舎は平成27年春に供用を開始した。
 海洋システム科は小型船舶の教習、ダイビング、水生生物の採集などを順次再開。待望の艇庫完成を受け、メーンの養殖実習を始められることとなった。
 昨年秋には広田湾漁協の協力のもと、実習用の養殖場を確保。地元漁業者を講師に招き、ホタテやワカメの養殖実習も実施した。大船渡市内の漁港や萱中校舎に仮保管していた教習用の小型船舶2艇と水上バイクも六ケ浦漁港に移した。
 供用開始後、生徒たちは養殖カキの付着物除去や養殖施設の清掃に取りかかる計画。基本的に実習前には、高田町の校舎で座学を行ってきたが、今回、現地に講義棟ができたことで座学・実習を効率よく実施できることとなった。
 海洋システム科は2年生9人、1年生6人と、2年連続で生徒数が1桁台。生徒確保が課題の一方で、東海大と連携した海洋調査をはじめ特色ある取り組みを展開しており、同校は学習の様子をまとめたチラシを独自に定期作成するなど情報発信にも力を入れている。
 須川校長は「待ちに待った養殖実習が始まる。生徒、教員も張り切って準備を進めている。地域の担い手となるべく、生徒たちには漁協や漁業者の協力を受けながら頑張ってほしい」とエールを送る。