「暮らしの満足度」回復 住民評価アンケート 住田町

 住田町は、町総合計画・町人口ビジョン・総合戦略施策の一環で住民を対象に実施した事業評価アンケートの集計結果をまとめた。暮らしの満足度として住みやすさについては、「満足」「やや満足」が56・8%となり、前年度比で6・2ポイント増加。道路環境や医療環境、買い物の便利さの各分野では、不満と答えた割合が低下した。一方で結婚や子どもを望む層への支援充実、農業の担い手確保を求める意見が目立ち、本年度も人口減少対策の重要性が浮き彫りとなった。

 

人口減対策の重要性変わらず

 

 町は国のまち・ひと・しごと創生法に基づき、平成27年度から5カ年の人口ビジョンと総合戦略、さらに28年度から4年間にわたる総合計画を策定。人口ビジョンでは町の将来展望を、総合戦略ではその政策目標や重要施策を掲げ、総合計画は各重要施策の部門別計画に位置づけている。
 住民評価アンケートは主要施策などに反映させようと、28年度から毎年実施。本年度は昨年12月に実施し、18~72歳から無作為に抽出した町民1234人に発送した。回答率は31・3%(386人)で、前年度を0・5ポイント上回った。
 住みやすさに関しては「住みやすい」「どちらかといえば住みやすい」の合計が56・8%。30年度から6・2ポイント上昇した。29年度の56・1%も上回った半面、調査1回目となる28年度の62・6%には届かなかった。
 また、道路環境・交通の便、医療、買い物の3分野でも満足度を質問。いずれも「不満」「やや不満」と回答した割合が50%を超え、道路環境・交通の便は55・9%、医療は73・8%、買い物は58・3%だった。
 3分野とも「不満」「やや不満」と答えた割合は低下。昨年から今年にかけては、花巻釜石道路の全線供用や三陸沿岸道路整備の進展、訪問看護事業の開始、大股地区における「買い物ツアー」の定着といった動きがあった。
 アンケートでは、町が進める各種施策の満足度、重要度も質問。満足度で「満足・どちらかといえば満足」が高かったのは「保育園の無料化」(50・0%)「子どもの医療費支援」(49・5%)「保育環境の充実」(42・0%)で、今回も子育て分野が目立った。
 前年度と同様に「結婚を望んでいる方への応援」は12・5%、「子どもを望んでいる方への支援」は18・1%と低調。いずれも町民が「とても重要」「重要」ととらえる割合が6割を超えており、一人一人の実情に合ったきめ細かい支援の必要性が浮かび上がる。
 また、農業の担い手支援も「満足」「やや満足」の合計が18・4%と低い一方、「とても重要」「重要」の回答は計59・1%と高く、地域課題としての重要性が明確に。新たな事業づくりや特産品開発、木製加工品の商品化・起業、体験型観光の各分野、移住・定住できる団地の整備に関する満足度は、いずれも20%未満にとどまった。
 町人口は2月末時点で約5356人で、年間100人を超えるペースで減少が続く。人口ビジョンでは「出生率の向上と社会増減ゼロを実現し、2040年には4000人の人口を目指す」を掲げるが、目標を下回るペースで推移している。
 新年度からの5カ年の新人口ビジョンでも「4000人」の目標は継承する方針。重点的な課題解消策として▽20代前半の人口増加▽15~49歳女性の人口増加──を掲げ、若い世代が暮らしやすいまちづくりや地場資源を生かした産業振興などを見据える。
 アンケート結果は、先月号の町広報でも掲載。住みやすさや分野別満足度の回答割合は、別図の通り。