気仙管内の最高10㌔1万5003円 養殖ワカメの初入札 新型ウイルス拡大も影響 大船渡

▲ 県内合同で行われた今季初の入札会

 今季の第1回県下合同養殖ワカメ入札会は12日、大船渡市大船渡町の県漁連南部支所で開かれた。初日の塩蔵ワカメの上場数は約23㌧。気仙管内の芯抜き1等の最高値は大船渡市漁協の1万5003円(10㌔)で、昨年の初入札会の最高値を21%下回った。昨年の価格高騰の反動や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による消費の冷え込みが反映されたとみられ、今後の海況、生育具合だけでなく出荷ピーク時の感染症動向にも注目が集まる。

 

前年21%下回る

 

 この日は県内外から買い付け業者29社が来場、電報入札4社の計33社が入札会に参加した。
 塩蔵ワカメは広田湾、大船渡市、唐丹町、釜石湾、新おおつち、重茂の各漁協から上場。昨年の種糸まき付け時の高水温の影響で生育が遅れていることや、しけが続いて刈り取り作業ができなかったことから、初日の上場数としては前年比で24㌧ほど減少した。
 ワカメは等級や地区ごとに分けられて、同支所の倉庫内には見本品がズラリと並び、入札参加業者らはワカメを手に取り、真剣な目つきで品質などをチェック。
 県外から訪れた買い付け人からは「やっぱり岩手のワカメはいいね」「この時期にしては身がしっかりしている」などと、品質を評価する声も聞かれた
 気仙管内の芯抜き1等の価格は、大船渡市漁協(末崎)に続いて、広田湾(小友・只出)が1万3300円、同(広田・南浜)と同(同・北浜)が1万2599円、同(小友・浦浜)が1万2589円となった。
 国内の加工、販売、流通業者らで構成する三陸ワカメ買受人会の会長を務めている㈲リアス海藻店(釜石市)の平野嘉隆代表取締役(48)は「色、ツヤともに上々の出来栄え。まだ時期が早いので浜によって身入りには差があるが、全体的には例年以上の品質」と話していた。
 昨シーズンは、県沿岸部で種糸のまき付け時期に高水温に見舞われて芽落ちが発生するなど、収穫前から減産が確実な状況となり、数量確保の動きが出て買いが強まったことから値段が高騰。
 今シーズンは、昨年の高値の反動に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大によって外出・イベントが自粛となっている影響で飲食店でも消費が冷え込んでいることも、価格に反映されたとみられる。
 現在、生育の若干の遅れこそあるものの減産は見込まれておらず、天候に恵まれれば計画数量の1万5200㌧を達成できる見通し。県漁連南部支所の及川則義支所長(63)は「しけもなく、無事に計画通りの生産量になれば」と期待を込める。
 入札会は今後、北部支所(宮古市)、南部支所に分かれて実施。5月8日には南部支所で県下合同の最終入札会が行われる。