消防設備不備の建物公表へ 4月から新制度運用開始 気仙の2消防本部

 大船渡地区消防組合消防本部と陸前高田市消防本部は4月1日(水)から、病院や宿泊施設、飲食店など不特定多数の人が利用する建物について、設置義務がある消防用設備が未設置の建物名をホームページで公表する「違反対象物公表制度」を導入する。現時点で気仙3市町で公表に該当する違反の建物はないが、両消防本部は「万が一に備え、定期的な設備の確認を」と呼びかけている。

 

万が一に備え周知徹底図る

 

 公表制度は、建物の利用者に危険を知らせる情報を入手できるようにするとともに、消防用設備の適正な設置を促そうとのもの。
 平成24年5月の7人の死者を出した広島県のホテル火災などを受け、総務省消防庁が全国の消防本部に制度を導入するよう通知。県内では盛岡地区広域消防組合消防本部が30年度に運用を開始し、他の消防本部は4月から一斉に導入することとしている。
 対象は、不特定多数の人が出入りする建物や、火災発生時に自ら避難することが困難な人が入所している建物。具体的には▽集会場▽遊技場(パチンコ店)▽カラオケボックス▽飲食店▽物販施設▽宿泊所▽病院・診療所▽介護施設▽保育園──など。
 公表対象となる違反は、消防法令で設置が義務づけられている▽屋内消火栓設備▽スプリンクラー設備▽自動火災報知設備──の未設置。各消防本部が定期的に実施している立ち入り検査で違反が認められ、結果を管理者に通知しても改善されない場合、通知から2週間後に建物名、住所、違反の内容について、自治体、または消防本部のホームページに載せる。
 建物を増築したり、避難口となる広い窓をふさぐような室内の模様替えを行った場合、新たな消防用設備が必要となるケースもあるという。両消防本部は「増築などを考えている管理者は、消防署に事前に相談を」と呼びかける。
 陸前高田市消防本部予防係の岡田雅彦係長は「対象となる建物で火災が起きた場合、甚大な被害が出る可能性が高く、決して楽観視できない。安全・安心の意識をさらに広げていくため、指導を徹底していきたい」と話している。
 公表までの流れは別図の通り。
 問い合わせは、大船渡地区消防組合消防本部(℡27・2119)、陸前高田市消防本部(℡54・2119)まで。