四つの新駅がスタート 「大船渡丸森」「陸前今泉」など 大船渡線BRT(別写真あり)

▲ 市外からの来訪も多い大船渡温泉近くの専用道に設けられた大船渡丸森駅

地域と観光の利便向上に

 

 JR大船渡線BRT(気仙沼―盛)で14日、大船渡、陸前高田両市内に新たに設けられた四つの駅が開業した。大船渡市内では専用道上に「大船渡丸森」(大船渡町)、「地ノ森」(同)、「田茂山」(盛町)、陸前高田市は気仙町の市道上に「陸前今泉」の各駅を開設。地域住民の生活の足だけでなく、観光客の利便向上にも役割を果たしそうだ。

 大船渡線BRTは、東日本大震災津波の被災区間で、レールを撤去後に舗装した専用道を設けるなどして、平成25年3月から運行が始まった。
 一般道も走ることから、復興事業に対応する形で運行経路や駅の位置を随時変更し、沿線自治体の要望を受けて新しい駅を開設するなど、鉄道時に比べて柔軟な体制をとっている。
 今回の新駅開設は大船渡、陸前高田両市の要望を受けてのもの。14日のダイヤ改正に合わせて開業した。これにより、気仙地区内のBRT駅数は17から21に増えた。

 このうち、大船渡市の大船渡丸森駅は「大船渡温泉」(運営=㈱海楽荘、志田豊繁代表取締役)に隣接。同温泉は平成26年に開業。大船渡湾や太平洋を一望するロケーションで、新鮮な海の幸を用いた豪勢な食事、朝日や夕日を眺めながらの入浴がうりで、市外からの宿泊客が多く訪れる。新型コロナウイルス感染拡大防止のため現在は見合わせているが、日帰り入浴も受け入れており、地元の人たちにも親しまれている。
 同温泉ではBRT利用の遠来の宿泊客に対し、これまでは最寄りの下船渡駅まで送迎車両を出していたが、新駅からすぐ足を運べるようになったほか、宿泊客や宴会利用客が中心市街地へ繰り出すにも利便が高まるとして、開設を喜ぶ。
 開業のこの日は、午前中の宿泊客チェックアウト時間帯に合わせ、スタッフが駅で見送りに立ち、利用者に塩蔵ワカメをプレゼントするなどして、温泉とともにアピールに努めた。カメラを持って駅の見学に訪れる市民の姿も見られ、にわかに活気づいた。

震災後のコミュニティー形成が進む陸前高田市気仙町の今泉地区には市道に陸前今泉駅を設置

 また、陸前高田市の陸前今泉駅は気仙町今泉の土地区画整理事業区域内に開設。近くには災害公営住宅・今泉団地や気仙小学校などがある。震災後の住宅移転やコミュニティーづくりの途上にあって地元要望を受けて整備されたもので、通学や通院、買い物など地域の足としての利用が見込まれる。
 JR東日本は、「道路運送法に基づく適切な形で運行を行うため」として、大船渡線と気仙沼線のBRT区間について、4日1日付で鉄道事業を廃止する。「運行・サービス水準の変更はない」としている。