26日に供用開始へ 末崎町内に気仙初の「環状交差点」 大船渡

▲ 26日に供用開始となる環状交差点

 県が大船渡市末崎町で改良工事を進めている一般県道碁石海岸線で、起点部分となる末崎小前の環状交差点(ラウンドアバウト)が26日(木)、供用開始となることが決まった。環状交差点化は、気仙では初、県内では宮古市に続いて2カ所目。信号機を廃止することにより、交通の円滑化や安全性の向上、災害で停電となった場合の渋滞緩和効果などが期待される。一方で、市民にはなじみのない形状となっていることから、事前の周知徹底、ドライバーの交通ルール順守も必要だ。

 

交通ルール・マナー順守を

 

 末崎小前の交差点は市道と県道が交わるなど、変則的な五差路となっている。付近には保育園もあることから、安全性の向上が求められていた。
 平成24年度の計画説明会後、地域住民からの意見や道路交通法の改正等を踏まえ、交差点周辺の計画を見直し。28年度に環状交差点化とすることが地域に示された。
 環状交差点は、信号機がなく、ドーナツ型の環道(かんどう)に複数の道路が接続した交差点のこと。車両は、環道を右回りの一方通行で走行でき、左折して目的の道路へ出るよう決められている。県内では平成29年3月、宮古市に初めて誕生した。
 末崎町の環状交差点は直径30㍍で、交差点内は一方通行で幅員5㍍。信号機が設置されないため、交差点での待ち時間の減少や事故の減少が見込まれるほか、災害で停電となった場合でも渋滞が緩和され、交通混乱が起こりづらい。
 一方、気仙初ということもあって地域住民にはなじみのない形状となっているため、事前の周知や交通安全教室などによるルール浸透を図ることが不可欠。
 この交差点は市内有数の観光地である同町の碁石海岸へと向かう際にも通行するため、今後、観光シーズン中は市内外から多くの車が行き交うことも予想される。渋滞解消も期待されるが、各ドライバーの交通ルールの徹底も求められる。
 大船渡警察署でも供用開始後、末崎小・中の児童生徒を対象に交通安全教室を開催することとしており、ルール周知に努めていく。
 県大船渡土木センターの西村貴之道路整備課長は「最初はとまどうこともあるかもしれないが、十分に注意して通行していただければ、渋滞も事故もなくなる。ぜひ、安全に配慮しながら通行してほしい」と話していた。
 改良工事は、同町山岸地区〜碁石地区を結ぶ高台のルートに、津波来襲時でも使用可能な延長2700㍍、幅員6㍍の新たな道路を整備する。▽高台移転などのまちづくり支援▽津波浸水による孤立集落の解消▽幅員狭小、線形不良区間の解消による交通の安全確保──などの整備効果が期待されている。復興交付金を活用し、地域連携道路整備事業として実施しており、本年度時点での事業費は35億2000万円。
 昨年12月には、終点の碁石から起点側に向けて延長約593㍍が供用開始となった。26日には、環状交差点含めて延長約145㍍が供用開始となる。
 残る区間は令和2年度内の完成を目指している。