学びと経験を胸に刻む 73年の歴史に幕下ろす 日頃市中学校の閉校式 大船渡(別写真あり)

▲ 閉校式後に「記念碑」の除幕を行う生徒たち

 4月の大船渡市立第一中学校への編入統合に伴い、今月末で閉校となる日頃市中学校の閉校式が20日、同校で行われた。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って規模は縮小となったが、出席者たちは霊峰・五葉山を望む地で昭和22年の創立以来、73年の長きにわたって子どもたちを育んできた学校へ感謝を込めるとともに、これまでの歴史を胸に刻みながら、思い出深い学びやに別れを告げた。

 

4月に一中と統合

 

 同校は昭和22年4月、日頃市村立日頃市中学校として小学校に併設されて創立。同26年に現在地に独立校舎が完成し、同27年の市制施行により市立日頃市中学校となった。
 平成元年には新校舎が完成。ピーク時には300人を超える生徒数を誇り、本年度を含め、これまでに3490人の卒業生を送り出してきたが、少子化による生徒減少が続いていることから、市教委が策定した「大船渡市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画」に基づき、越喜来中、吉浜中とともに大船渡一中に編入統合することとなった。
 市主催の閉校式は当初、約160人の出席を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って規模を縮小。この日の出席は全校生徒と教職員、市議会、地元の地域公民館長、市内在住の歴代校長ら合わせて約70人となった。
 国歌斉唱、日頃市の建設歌「心は一つ」の合唱に続き、戸田公明大船渡市長が「閉校となっても、この学びやで培われた歴史と伝統、校風は、卒業生や地域の皆さまのそれぞれの胸に深く刻み込まれ、統合後の第一中学校と次代を担う子どもたちにもしっかりと受け継がれていくと確信している」と式辞。
 教育委員会告辞では、小松伸也教育長が「子どもたちは4月から、第一中学校の生徒となるが、これまで支えてきてくださった方への感謝を忘れず、日頃市村建設歌や校歌の一節にもあるように、心は一つ、強く、正しく、心豊かにまい進してくれるものと期待している」と述べた。
 金野勝紀校長は「地域に見守られ、ともに歩んできた日頃市中学校の歴史が閉じることは大変さみしいが、生徒には、第一中学校でともに学び、切磋琢磨し、さらに大きく飛躍してほしいと願っている」とあいさつ。
 来賓の熊谷昭浩市議会議長のあいさつに続き、生徒会長の佐々木美羽さん(2年)が「たとえ学校がなくなっても、この校舎で過ごした日々は色あせることなく胸に残り、私たちの母校として存在し続ける。閉校は新たな時代への第一歩でもあると信じている。第一中学校と統合になっても、日頃市中、日頃市の誇りを受け継ぎ成長していきたい。ここまで支えて下さった感謝の思いを伝えるとともに、日頃市中で学んだことを誇りに思い、今後に生かしてより活躍していくことを誓います」と誓った。
 金野校長が小松教育長に校旗を返納したあと、全員で最後の校歌を斉唱して式を締めくくった。
 式後は、同校の閉校記念事業実行委員会(委員長・山下通日頃市地区公民館長)による事業の一環として、校門の石に開校と閉校の年月日、卒業生数が刻まれたプレートをはめ込んだ〝記念碑〟の除幕式も行われた。
 同校最後の卒業生・佐藤俊晃君は「ここに中学校があったということを残していかなければと思いながら最後の一年間を過ごしてきた。同級生が全員そろうのはきょうが最後。人数が少なくて、一人一人の負担も大きかったけど、力を合わせて楽しく過ごすことができた」と話していた。
 閉校式は、越喜来中が21日、吉浜中が22日(日)に行われる。