思い出胸に飛躍を 学びやに別れ告げる 越喜来中学校で閉校式 大船渡(別写真あり)

▲ 閉校式後、学校との別れを惜しみながら談笑する生徒たち

 大船渡市立第一中学校への編入統合に伴い、今月末で閉校となる越喜来中学校で21日、閉校式が開かれた。生徒や教職員、来賓ら出席者は、73年間にわたって地域とともに歩んできた同校の歴史を心に刻み、感謝とともに別れを告げていた。

 

第一中と統合

 

 同校は昭和22年4月、越喜来村立越喜来中学校として小学校に併置されて創立。同33年に新校舎が完成し、同42年の町制施行により三陸町立越喜来中学校に、平成13年11月には三陸町と大船渡市の合併に伴って市立越喜来中学校と改称した。
 生徒数が最も多かった昭和38年には400人近くが在籍。本年度を含め、これまでに4836人の卒業生を送り出してきたが、少子化による生徒減少が続いていることから、市教委が策定した「市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画」に基づき、令和2年度に日頃市中、吉浜中とともに大船渡一中に編入統合することとなった。
 市主催の同校閉校式は当初、約170人の出席を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って規模を縮小。出席者は全校生徒と教職員、市議会、地元の地域公民館長ら合わせて約70人となった。
 国歌斉唱に続き、戸田公明大船渡市長が「閉校となっても、この学びやで培われた歴史と伝統、校風は、卒業生や地域の皆さまの胸に深く刻み込まれ、統合後の第一中学校と次代を担う子どもたちにもしっかりと受け継がれていくと確信している」と式辞。
 教育委員会告辞では、小松伸也教育長が「地域に愛されてきた大切な学校がなくなることは、在校生はもとより地域にとってさみしさもひとしおと拝察するが、生徒たちは世代を超えて地域との絆を伝承していってくれるものと信じている。在校生は4月から第一中の生徒となる。多くの友人と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、たくましくまい進してくれると期待している」と述べた。
 岩崎弘校長は、生徒たちのさまざまな活動を紹介しながら「素直で優しく、何事にも一生懸命取り組むその姿勢を、統合後の第一中学校でも発揮してほしい。『努力に勝る宝なし』という言葉にふさわしい越喜来中生だったと確信している」とたたえた。
 来賓の熊谷昭浩市議会議長のあいさつに続き、生徒会長の古水健一郎君(2年)が「いつの時代も力強く歩んできた越喜来中学校。ここでの思い出は、僕たちやこの校舎を巣立っていった先輩方の心の中で輝き続けている。先輩方が越喜来中学校の歴史を作り上げてきたように、私たちもまた大船渡第一中学校で新たな歴史を作り上げていきたい」と別れの言葉を述べた。
 岩崎校長が小松教育長に校旗を返納したあと、全員で校歌を斉唱。式後は生徒、教職員が別れを惜しみながら談笑し、3年生たちは高校でのさらなる飛躍を、1、2年生たちは第一中学校での活躍をそれぞれ誓っていた。
 同校最後の卒業生となった山下大地君は「自分の母校がなくなるというのはさみしいが、越喜来中のことはずっと心の中に刻んでいく。1、2年生のみんなには、越喜来中で過ごし、少ない人数の中でもいろんな行事をやりきったことを自信に、第一中でも越喜来中生らしく過ごしてほしい」と話していた。
 22日には吉浜中の閉校式が行われる。