遠心分離でオイル抽出 30日から試験操業 國洋のイサダ新工場 大船渡

▲ 19日には関係者向けに見学会が開かれた

大船渡町内に建設された新工場

 大船渡市の冷凍食品製造業・國洋(濱田浩司社長)は30日(月)から、三陸産イサダからオイル成分を抽出・生産する新工場の試験操業を開始する。遠心分離機を使い、健康成分を豊富に含有するイサダオイルを抽出して素材化する工場で、国内では初の事例。同社では大学、研究機関、水産加工会社、県とともに「イサダまるごとプロジェクト」と銘打ってイサダの利用用途や需要を拡大させようと研究、技術開発を展開してきており、その集大成ともいえる工場がいよいよ動き出す。

 

国内初の取り組みに

需要拡大目指す

 

 同社は昭和55年に創業し、震災前は大船渡市と山田町に合わせて三つの工場を展開。平成22年からイサダを取り扱っていたが、23年の東日本大震災ですべての工場が被災した。震災から4カ月後に本社工場を再開させ、山田町の工場は解体。現在は大船渡市内のみで、新工場を合わせ4工場を構えている。
 新工場は大船渡市大船渡町上平地内に建設。一部2階建てで、延べ床面積は約500平方㍍。総事業費は約5億8000万円で、グループ補助金を活用した。
 新工場では、酵素分解と遠心分離機によって健康成分が豊富に含まれるオイルをイサダから抽出。その後、関東圏の工場で粉末状にし、食品やサプリメントに加工される。残さは釣り餌として活用される。
 イサダはツノナシオキアミの別称。主に養殖や遊漁のエサとして流通しているが、研究によってDHAなどを豊富に含むオイルやオキアミ特有の抗肥満成分、動物性たんぱく質、甲殻類特有のうま味、香味成分が含有されていることが分かっている。
 岩手生物工学研究センター(北上市)では、イサダ水溶性抽出物に肥満抑制効果があることを発見し、平成26年には同センターと岩手大学が肥満抑制効果の仕組みを解明。ダイエット効果で有名なエイコサペンタエン酸の約10倍となる高い活性の「8―ヒドロキシエイコサペンタエン酸」を特定したことなどを発表した。
 同センターや県、大学、國洋などの企業の連携により、28年から「イサダまるごとプロジェクト」がスタート。イサダに含まれている成分を分離、精製して高付加価値素材として製造、販売することによって利用用途拡大や需要を増加させようと、本年度までの4年間で分離技術の開発などを進めてきた。その中で、動脈硬化や高血糖を抑える効果や脳機能改善にも期待できるということも明らかになっている。
 今月19日には新工場の見学会が開かれ、同プロジェクトの関係者ら約10人が参加。濱田社長から工場の説明を受けながら、イサダの持つ可能性へと期待を膨らませた。
 有機溶剤を使ったオイルの素材化は国内で事例があるが、遠心分離機を使用しての試みは国内初。プロジェクトの代表を務める同センター生物資源研究部の山田秀俊主任研究員は「技術開発を通じて、このように一つの形になって感慨深い。もっとイサダを広めて、日本中の人に知ってもらうための取り組みを展開していきたい」と意欲を見せる。
 濱田社長は「サプリメントという新たな分野への進出ということで不安と希望があるが、PRしながらイサダの需要拡大に向かっていきたい」と話している。