万感胸に別れ告げる 吉浜中学校で閉校式 大船渡(別写真あり)
令和2年3月24日付 7面

大船渡市立第一中学校への編入統合に伴い、今月末で閉校となる吉浜中学校で22日、閉校式が開かれ、半世紀以上の長きにわたって地域とともに歩んできた同校の閉校を出席者たちが惜しんだ。生徒たちは吉浜中での学びと経験を糧に飛躍していくことを誓い、多くの思い出が詰まった学びやに別れを告げた。
学びと経験 今後の糧に、第一中と統合
同校は昭和22年4月、吉浜村立吉浜中学校として小学校と併設で創立。同42年の町制施行により三陸町立吉浜中学校となり、平成3年に新校舎が落成。13年11月には三陸町と大船渡市の合併に伴って市立吉浜中学校と改称した。
生徒数が最も多かった昭和37年度には187人が在籍。本年度を含め、これまでに2149人の卒業生を送り出してきたが、少子化による生徒減少が続いていることから、市教委が策定した「市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画」に基づき、令和2年度に日頃市中、越喜来中とともに大船渡一中に編入統合することとなった。
市主催の閉校式は当初、約170人の出席を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って規模を縮小。出席者は全校生徒と教職員、市議会、地元公民館長、住民代表ら合わせて約70人となった。
国歌斉唱に続き、戸田公明市長が「閉校となっても、この学びやで培われた歴史と伝統、校風は、卒業生や地域の皆さまの胸に深く刻み込まれ、統合後の第一中学校と次代を担う子どもたちにもしっかりと受け継がれていくと確信している」と式辞。
教育委員会告辞では、小松伸也教育長が「地域に愛されてきた大切な学校がなくなることは、在校生はもとより地域にとってもさみしさもひとしおと思うが、ユネスコの無形文化遺産に登録されたスネカは、その一翼を担っているのが中学生。今後も世代を超えた交流を図りながら、地域との絆を継承していってくれるものと信じている」と述べた。
村上誠校長は「閉校を迎えることはさみしいが、この誇らしい生徒たちは、まさに地域の方々が脈々と育て上げてきた結晶ともいえる。今後も多くのことを学び、自分自身の人生をより豊かなものとし、吉浜地区で活躍してくれると思う」と期待を込めた。
来賓の熊谷昭浩市議会議長のあいさつに続き、生徒会長の見世菜々子さん(2年)が「中学校生活の大半を過ごした学びやがなくなってしまうのはさみしいが、73年の歴史を育んだこの吉浜中学校に感謝の気持ちでいっぱい。これから私たち1、2年生は第一中学校での新しい生活が始まる。一中でも吉浜中学校での経験を生かし、今までよりも頑張りたいです」と別れの言葉を述べた。
村上校長が小松教育長に校旗を返納したあと、全員で校歌を斉唱。式後は生徒たちが離任する教職員たちに感謝を込めて花束を贈呈し、生徒たちはそれぞれの進路での一層の活躍を誓っていた。
同校最後の卒業生となった大森若葉さんは、母親が新校舎の最初の卒業生。「親子2代で吉浜中を卒業できてよかった。最後の卒業生として行事を頑張っていかなければというプレッシャーはあったけど、みんなで力を合わせて成功させることができてよかった」と話していた。