復興事業また一区切り URが市に業務完了を報告 大船渡
令和2年3月27日付 1面

東日本大震災で甚大な被害を受けた大船渡市の復興まちづくりを推進してきた独立行政法人都市再生機構(UR)は、本年度末をもって同市から受託した復興整備業務を完了する。市とは平成24年に復興事業の推進に関する協力協定を締結し、これまで7年余りにわたって大船渡町の大船渡駅周辺地区における土地区画整理事業や、14地区での災害公営住宅整備事業などに取り組んできた。URとの業務完了により、大船渡の復興事業はまた一つの区切りを迎えることとなる。
協定締結から7年余り、土地区画整理事業など受託
震災後、市とURは24年3月に「東日本大震災にかかる復興まちづくりの推進に向けた覚書」を交換。同年7月には「東日本大震災にかかる大船渡市復興事業の推進に関する協力協定」を締結し、同8月には大船渡復興支援事務所を開設した。
この協定では、大船渡駅周辺地区の復興まちづくりとして、土地区画整理事業による市街地整備を実施。さらに、津波復興拠点整備事業として、商業施設用地等の整備や防災観光交流センター(おおふなぽーと)の建設、既存構造物等撤去事業、下水道整備事業に取り組んできた。
このうち、土地区画整理事業は25年に事業計画を決め、同年8月に着工した。事業区域は33・8㌶。
実施に当たっては、設計から施工管理、資金計画を含む総合的な建設管理を行うCM(コンストラクションマネジメント)方式を市として初めて導入。東急・東洋・植木・日本測地・CPC大船渡市大船渡駅周辺地区震災復興事業共同企業体(東急JV)がCMR(コンストラクションマネージャー)として、URの委託を受けてプロジェクトの全般を運営管理し、スムーズに工事を進めた。
事業区域内のJR大船渡線から海側を対象とした、津波復興拠点整備事業(対象面積10・4㌶)は29年度に完了。土地区画整理事業の基盤整備工事も30年度末で終わり、昨年11月には換地処分公告が行われ、残すはソフト事業の清算業務のみとなった。
被災者の住まい再建に向けては、市とともに災害公営住宅も整備。24年度から28年度にわたり、市内14地区に計227戸を建設した。完成当初のコミュニティー形成支援にも協力し、各団地の自治会活動が軌道に乗るきっかけをつくった。
協定に基づく一連の事業が完了し、今月18日にはUR岩手震災復興支援本部の里見達也本部長らが市役所を訪問。戸田公明市長に目録を手渡し、事業の完了を報告した。
市側は感謝状を贈呈し、UR側の支援、協力に改めて感謝。大船渡復興支援事務所は、今月末をもって閉鎖する。
同本部の村井剛市街地整備部長は感謝の思いを交えながら、「本当にいろいろな方々に協力をいただき、何とかやってこられた。スタートから厳しい環境の中、皆で同じ方向を向いて〝一日も早く〟と進め、業務完了を迎えられたのは大変うれしい。今後も復興、発展の姿を見守っていきたい」と話していた。
市災害復興局の佐々木義久局長は「震災後のマンパワー不足の中、URの方々には計画的に事業を進めていただいた。おかげさまで復興・創生期間内に無事完了ができた。地権者の方々、各地からの派遣職員の方々の協力も大きかったと思う」と話し、改めて感謝していた。