観光農園化へ育苗スタート 大洋会のイチゴハウス 陸前高田

▲ 来年1月の観光農園オープンを目指し、イチゴ苗の育苗がスタート

 社会福祉法人・大洋会(木川田典彌理事長)が来年1月の開園を目指し、陸前高田市矢作町で整備を進めている観光イチゴ農園。現地に先行整備中だった採苗・育苗棟が完成し、26日、苗の栽培が始まった。600株を親株に、1万株程度に増やしたあと、今秋完成予定の観光農園ハウスに定植する計画。障害者の就労の場拡充、交流人口の拡大を見据え、同市の就労継続支援B型事業所「青松館」利用者が職員とともに管理に当たる。

 

来年1月の開園目指す

 

 建設地は、矢作小の旧仮設グラウンドの私有地で、敷地は約5000平方㍍。イチゴ苗を増やすための採苗・育苗棟は広さ約300平方㍍のハウス1棟で、昨年12月に着工、2月下旬に完成した。
 親株として手配したのは、「紅ほっぺ」「やよいひめ」など4品種計600株。26日は、利用者や職業指導員ら5人が高設棚に約20㌢間隔で苗を植えていった。
 大洋会は、障害者の働く場確保、収入の増加に加え、農業や観光の振興を図ろうと、社会福祉法人としては県内初という観光農園事業に乗り出した。
 観光農園は約2400平方㍍の4連棟ハウスで、着工は9月ごろを見込む。苗は当初1万株で、最終的には1万4000株を栽培する。毎年1〜5月に開園し、来園者数は年間3600人を目指す。
 ハウスはいずれも土耕栽培よりも作業負担の軽い高設栽培を採用。室内の温度や湿度などを一元管理し、液肥を自動で供給する設備も導入し、省力化、品質の安定化を図る。
 敷地内には、軽量鉄骨造り平屋建ての作業棟も建てた。イチゴのパック詰め、休憩室として活用するほか、直売スペースを設け、今年12月にもイチゴの販売を始める。
 観光農園のハウスは、利用者が安全に作業するとともに、車いすの人や重度の障害者らがイチゴ狩りを楽しめるよう、通路幅を一部広めに確保するのが特徴。作業棟には障害者用トイレも設けた。
 大洋会は、障害者が農家に出向いて収穫作業などを手伝う「農福連携」も進めていきたい考え。農業の担い手確保、障害者の工賃向上と双方にメリットがあり、栽培のノウハウや観光農園の運営方法を学ぶため、県内外での研修も行う。
 青松館の米田智館長は「障害者の働く場確保につなげるとともに、地域内外の方々においしいイチゴを提供できるよう、利用者と力を合わせて頑張っていく」と決意する。