CLTを構造材に活用 住田町内でアパート建築 けせんプレカット

▲ CLTを構造材とした建築が進行中

 住田町世田米のけせんプレカット事業協同組合は、林業資源を生かす新たな産業化の観点などから注目される木材パネル・CLT(直交集成板)を構造材とした外国人技能実習生向けのアパート整備を進めている。地元のスギ材を加工したもので、同組合ではCLTのさらなる普及などに期待を込める。
 CLTはひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交(クロス)するように積層接着した木質系材料。厚みのある大きな板で、建築の構造材の他、土木用材として橋にも使用されている。
 幅や厚みの異なる板の有効活用に加え、遮音性、耐火性、耐震性を確保できる利点がある。気仙ではこれまで、大船渡消防署住田分署の階段部分などに使われた実績があるが、構造材としての活用は例がないという。
 同組合では、新たな地元産材の活用策として、CLTの普及拡大や、工場立地実現に力を入れてきた。この一環として、4階建てをはじめとした中層建築物の建造技術を持つ大東建託㈱(本社・東京都)の協力を得て、2階建てのアパート建築を進めることになった。
 今回用いたCLTは、地元のスギ材を活用。ひき板にした状態で県外の工場に運び、CLTに加工後はプレカットなどで金具の取り付けなどを行ったという。
 建築は今月下旬から整備が本格化し、壁となる厚さ15㌢の板が次々と設置されている。板は強度確保だけでなく断熱性能もあることから作業スピードも速く、5月ごろの完成を見込む。
 同組合では「CLTは一枚の板でさまざまな性能を持ち合わせ、工期短縮も期待できる。より広く構造材として普及させていく弾みとなれば」と、期待を込める。
 CLTの工場誘致は、町議会一般質問でもたびたび論戦となるなど、早期実現を求める動きが広がっている。議員らによると、現在は陸前高田市も含めた気仙川流域沿いでの誘致に向けた調整が進んでいるという。