2年度から新体制で 「ふるさと納税」返礼品取り扱い 陸前高田

▲ 新年度から2社による共同企業体が陸前高田市の「ふるさと納税」返礼品取り扱い業務を担う

 陸前高田市は新年度から、「陸前高田がんばっぺし応援寄附金」(ふるさと納税)の返礼品取り扱い業務を、㈱フロムゼロ・陸前高田地域振興㈱共同企業体に委託する。公募型プロポーザル方式で決定したもので、市は「新しい委託先には、それぞれが培ってきたノウハウを生かしてもらい、陸前高田を応援してくださる方々とのつながりをより深めていただきたい」としている。

 

新たな業務委託先決まる

 

 同業務を受託するのは、北上市に本社を置くフロムゼロ(登内芳也代表取締役)と、気仙町にある陸前高田地域振興(佐藤忠広代表取締役)による共同企業体。市からの委託期間は令和2年4月1日から3年3月31日の1年間となっている。
 市は、復興支援等をきっかけにできた人との縁をまちづくりの力とし、さらに継続的なかかわりを築いていくことや、地場産品のPRなどを目的に、平成27年から「ふるさと納税」の受け付けを再開。返礼品の発送作業を気仙両市の授産施設が担うなど、障害者雇用の場も創出してきた。
 しかし、昨年8月、同市と八幡平市の返礼品等取り扱い業務を受託していた一般社団法人の代表理事が、八幡平市における返礼品の産地を偽装したなどとして、不正競争防止法違反容疑で逮捕された。一方、陸前高田の返礼品における不正は確認されなかった。
 市は同法人への委託契約の見直しなども検討したが、逮捕や起訴といった事案が、契約書に記載された「契約解除の事由」に当たらないことから、見直しは難しいと判断。捜査状況を見ながら、障害者の就労支援などの観点からも、本年度内は委託を継続した。
 同法人との契約は元年度で満了となる。市は2年度の業務受託者募集にあたり、複数の事業者から企画提案を受ける「プロポーザル」方式を採用。3社から応募があり、審査の結果、同企業体に決定した。同法人からの応募はなかった。
 選考にあたっては、▽寄付者の拡大やリピート率向上に向け、効果的にプロモーションできるか▽障害者の就労支援を推進するにあたり、適切な心構えを持っているか──といった評価基準を設定。同共同企業体もこれを受け、新年度も同様の形で障害者雇用を継続する。
 陸前高田地域振興は、これまでも自社製品を返礼品として発送してきた経験を持つ。また、北上市においてふるさと納税業務にあたってきた登内代表取締役は、そのノウハウをもって同社とともに取り組みを進めていくため、新たにフロムゼロを立ち上げたという。現在、共同企業体としての事務所を竹駒町に準備中。同法人のスタッフ2人も新体制に移行し、改めて業務に携わる。
 市地域振興部商政課によると、登内代表取締役は平成25年から北上市でふるさと納税にかかる業務を手がけ、初年度は293万円だった寄付金を、31年度(令和元年度)には約14億円にまで大きく伸ばした実績があるという。
 同課は同代表取締役について、「北上では返礼品を扱う事業所向けの勉強会を開くなど、積極的に取り組んでこられた。陸前高田からのメッセージの発信や寄付者向けイベントの開催、体験型の〝アイデア返礼品〟開発などでも力になっていただけると思う」と話している。
 また、発送作業の一端を担ってきた福祉事業所の一つであるあすなろホーム(高田町)の西條一恵施設長は、「これからも市とお仕事できるということでうれしく思う。北上では障害者施設に助言しながら返礼品も作ってきたとのことなので、新しいつながりによって、私たちにできることも広がっていくのではと期待している」と語った。