新型コロナウイルス/高齢者の〝見守り〟に注力 よりあい事業での再会誓う 住田町社協

▲ 認知症地域支援推進員㊧が高齢者宅を回って近況を確認。各種事業自粛の長期化で、筋力低下防止などの重要性が高まっている

 新型コロナウイルスの影響で高齢者向けのイベントや外出機会が減る中、住田町社会福祉協議会(菅野孝男会長)では日中時間帯に1人で過ごす高齢者らを対象とした見守り活動に力を入れている。同協議会などでは高齢者らが集う「よりあいカフェ」事業を運営しているが、3月は開催できず、訪れていた利用者の筋力低下や物忘れの進行などが心配される。訪問先では高齢者に励ましの声を届けるとともに、早期の影響収束を願いながら4月以降の再会に期待を込める。

 

自粛生活長期化を懸念 体力低下や物忘れなど

 

 町社協などでは、高齢者らの住民交流や居場所づくりを目指す「よりあいカフェ」を運営。誰もが気兼ねなく寄り合える場を設け、日中に1人で過ごしがちな高齢者や障害者らの居場所づくりを進めてきた。
 町内3カ所で運営している「中心型」は週1回のペースで開催。世田米商店街沿いで毎週火曜日に開設する「しょうわばし」では、1回当たりの利用者数が33人に上る。毎週水曜日には上有住集会センターで「あんるす」、同木曜日には下有住地区公民館で「なるせ」があり、開設日ごとに10人前後が足を運ぶ。
 感染防止策として、3月はよりあいカフェに加え、町が運営する地域型ミニデイサービス事業などが軒並み中止となった。外に出て会話を交わす機会が減り、自粛生活が長引く中、高齢者の筋力低下や物忘れの進行が懸念されている。
 こうした中、社会福祉協議会ではよりあいカフェの〝常連〟で、日中時間帯に1人で暮らす高齢者らを対象に、見守り活動を展開。3月は週に1度のペースで関係者が回り、健康状況を確認した。
 3月31日には、よりあいカフェ運営に携わる認知症地域支援推進員や町社協職員が手分けし、世田米の10軒余りを回った。各住宅では「おかわりないですか」などと声をかけた。
 訪問時には「気を付けたいポイント」をまとめた書面も手渡し。具体的には▽座っている時間をなるべく減らす▽朝・昼・夜の食事をしっかりとる▽歯みがきや入れ歯の洗浄を行い、口を清潔に保つ▽知り合いに電話をかけ会話をする──などを呼びかける。
 対話では、よりあいカフェでともに過ごす地域住民の近況などが話題に。訪問を受けた世田米の中里繁子さん(89)は「毎週楽しみだから通っていた。一番好きなのは、年寄り同士のおしゃべり。自宅にいるのも退屈ではないけれど、早くみんなと会いたいね」と話していた。
 町社協では「こちらも再び会えることを楽しみにしている思いを伝えることで、少しでも元気を届けたい」と期待を込める。現段階でカフェ再開時期は今月中を見据えるが、当面は密集を避けるための来場調整や、時間短縮などの措置を行うという。