新型コロナウイルス/広がる延期・規模縮小の波 式年大祭や山のイベントなど 気仙

▲ 海上渡御などで大船渡湾内などを彩る尾崎神社の式年大祭は今年の開催を見送り、延期を決めた(平成28年、前回の様子)

 世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響が、5月のゴールデンウイークなどに予定されていた気仙の催事にも及んでいる。大船渡市で5月3日(日)に予定されていた赤崎町・尾崎神社(﨑山巌宮司)の式年大祭は来年以降に延期するほか、立根町・五葉神社(長谷川瑞彦宮司)の式年大祭は神事のみとし、神輿渡御や余興奉納は見合わせる。山のイベントも中止や規模縮小の動きが広がる。

 

大型連休の催事にも影響

 

 五穀豊穰や豊漁などを願う尾崎神社の式年大祭は4年おきの挙行で、平成24年は震災の影響で中止していたが、同28年に〝復活〟。大漁旗をなびかせた地元漁船が神輿を乗せて大船渡湾を一巡するなど、海の町ならではの勇壮な祭り絵巻が繰り広げられ、県内外からの見物客を魅了した。
 大祭に向けては毎回、3月には郷土芸能や手踊りといった余興準備などが本格化する。先月21日に祭典委員会の場で協議し、「地域の人たちの健康が最優先」といった意見を踏まえ、延期を決定。今後日程を協議するが、年内の開催は見送る方針という。
 﨑山宮司(49)は「残念で不本意ではあるが、地域の方々の健康やいまの状況をふまえれば仕方ない。祭りによる活気を消したくない思いもあり、いずれかの時期に開催できれば」と語る。
 五葉神社の式年大祭も4年おきで、平成24年の前々回は震災翌年とあって余興奉納を見送り、さらに降雨で御旅所での権現様披露も中止となった。前回は好天に恵まれ、神輿渡御行列や10の祭組による余興奉納などで地域を彩った。
 先月総代会を開き、神社内での神事は執り行うものの、神輿渡御や余興奉納の中止を確認した。長谷川宮司(64)は「残念ではあるが致し方ない」と話す。
 市内では5月4(月)、5(火)の両日に末崎町の碁石海岸レストハウス前などで予定していた「大船渡碁石海岸観光まつり」も中止。震災が発生した平成23年以来となる。
 また、同市や住田町、釜石市にまたがる霊峰・五葉山の山開きは例年4月29日(水)に開催しているが、3市町による自然保護協議会では同日の式典のあり方について協議を進めている。
 例年『こどもの日』の5月5日に大船渡市立根町の県立福祉の里センターで開かれる「鯉のぼり子どものつどい」(同実行委員会主催)は、中止も含めて対応を模索。末崎町の多世代交流館・居場所ハウスが3日(日)に予定する「鯉のぼりまつり」は、規模を縮小して行う計画としている。
 陸前高田市では今月26日(日)を予定する氷上山山開きの神事のみ行い、登山客を呼び込む大々的なPRは控える。山開き恒例となっている頂上付近での豚汁提供は行わない。
 同市小友町の気仙大工左官伝承館など箱根山一帯を会場とする「箱根子どもまつり」は5月5日を予定しているが、現時点で方針は未定となっている。
 住田町の種山ヶ原森林公園で地元自然ガイド・すみた森の案内人の会が主体となって実施する「花と緑の観賞会」も例年5月に開催しているが、今年は中止。公園内で見ごろを迎える花々などを楽しむイベントで、毎年人気を集めていた。