若者の未来開きたい 「陸前高田三田会」発足 英語力向上の場提供へ

▲ 「若者の未来を開きたい」と陸前高田三田会が発足

 陸前高田市にこのほど、同市在住などの慶応大学出身者らによる非営利団体「陸前高田三田会」(大林孝典会長)が発足した。会員のネットワークや前歴、職業を生かし、主に若い世代の未来に貢献する活動を展開していく考え。その第1弾として来月、実践的な英語力向上を目指す中高生を募ったうえで、ともに学習し視野を広げるための場を提供する。
 慶応大学の学生や卒業生らが、出身地別や業界別に組織を立ち上げ活動する「三田会」は、大学の本部が東京都港区三田にあることに由来する名称で、世界各地に存在。陸前高田市には東日本大震災をきっかけに移住した人や同市で働く同大出身者が増えたことを受け、今月創設された。
 同市ではシンガポール共和国との交流や米国クレセントシティ市との姉妹都市協定締結、インバウンドの推進など、国際的な感覚と英語力を身につけることで活躍できるような選択肢が増えている。同会は、語学力の向上で視野を広げたいという意欲を持つ中高生をサポートするため、学習支援などを行っていく計画。英語によるコミュニケーションとビジネス能力を測る国際的な英語検定試験TOEIC(トーイック)でスコア800点の獲得を目標に課す。
 TOEICは990点満点で、企業の採用試験では600点以上のスコアを応募要件とするところも。800点は、英語話者と仕事をするうえで支障がないレベルとされ、英検準1級程度ともいわれる。留学や現地在住経験がない中高生が、800点以上のスコアを目標に掲げることは大きな挑戦となる。
 学習支援にあたっては、市職員の大林会長(35)と、(一社)マルゴト陸前高田の古谷恵一さん(31)、同市議の木村聡さん(26)の会員3人が講師を務め、5月から9月までの5カ月間、平日夜や休日を利用し学習をフォローしていく。
 さらに、生徒たちの夢を具現化するヒントとなるよう、国内外で活躍するさまざまな職種の人をゲストスピーカーに迎え、オンラインなどで仕事のやりがいなどを語ってもらう予定という。
 また、9月13日(日)に行われるTOEIC公開テストは、講師も一緒に受験。スコア800点を突破した生徒には米国への研修旅行をプレゼントするなど、高い目標クリアへ向け、モチベーションを上げていきたいとする。
 講師らは、市職員となる前に国際協力機構(JICA)に8年間在籍した大林会長をはじめ、予備校、学習塾での勤務経験や、駐在、留学等による海外経験が豊富。異文化に触れることや、夢を描き努力することによって得られる喜びをよく知っているからこそ、10代の挑戦する気持ちを応援したいという。
 古谷さんは「英語力は文系・理系問わず必ず役に立つ。国内外で活躍している人たちの話を聞き、『勉強することが社会につながっている、自分のためになる』ということを実感してもらえたら」といい、大林会長は「夢とやる気を持った若者の底力を陸前高田の内外に伝えたい。生徒たちが将来を描くための〝ナビゲーター〟になれれば」と、応募を呼びかける。
 応募要件は、陸前高田市在住または同市の中学校・高校に通う中学3年〜高校3年生で、英語を身につけたいという熱意を持つ生徒。保護者の同意を得られることも必要となる。費用はテキスト代(1万円程度を予定)と、TOEIC受験料6490円。
 応募方法はhttp://urx.space/Xqvwにアクセスし、必要事項を記入すること。締め切りは今月18日(土)。25日(土)に市内で、保護者同席のうえでの面談と英語の簡易的なテストによる選考会を実施する。
 問い合わせは同会事務局(メールmitakai.rikuzentakata@gmail/com、舟木さんまたは木村さん)まで。