まちなか活気創出にも期待 市民文化会館が開館 現地で記念式典 陸前高田(別写真あり)

▲ テープカットを行い、施設の完成を喜び合った出席者

「奇跡の一本松ホール」の愛称を考案し、表彰状を受ける高橋君

 東日本大震災の津波で被災した市民会館と中央公民館の機能を併せ持つ陸前高田市民文化会館が高田町の中心市街地に完成し、11日、現地で開館記念式典が開かれた。愛称は市内の児童が考案した「奇跡の一本松ホール」。市中心部の着実な復興を発信する生涯学習の新たな拠点で、同ホールを活用した交流人口の拡大、まちなかの活気創出にも期待がかかる。一般の利用開始は13日(月)から。


被災の2施設を一体的に復旧

 

 式典は市民文化会館の中庭で行われ、新型コロナウイルスの感染防止のため人数を絞り、関係者約30人が出席した。
 戸羽太市長は、市民との協働で新会館建設の検討を進めてきた経緯に触れ、「文化・芸術活動、生涯学習の拠点施設としての活用のほか、中心市街地に位置する立地条件を生かし、まちなかのにぎわいを創出、活性化を図るような施設運営に努めていく」と述べた。
 戸羽市長は設計・施工者に感謝状、愛称の公募作品の中から最優秀賞、優秀賞に選ばれた児童・生徒らに表彰状を贈呈。最後にテープカットを行い、出席者が改めて完成を喜び合った。
 新たな会館は、商業施設「アバッセたかた」のそばにあり、平成30年6月に着工。敷地は1万4207平方㍍で、鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)3階建てと木造平屋を組み合わせて整備し、延べ床面積は合わせて3591平方㍍。総事業費は約29億8100万円で、災害復旧費補助金、震災復興特別交付税を充てた。
 640人がゆったりと座れるホールのステージ緞帳(どんちょう)には、朝日を浴びる「奇跡の一本松」が描かれ、ホール床の一部に気仙杉を使用。誰もが利用しやすい「ユニバーサルデザイン」を徹底し、客席には車いす用スペース8区画、ガラス張りの親子席7席を設置した。ステージは、ホール1階を横断する中央通路と同じ高さでつなげ、車いすの人もスムーズに登壇できる。
 館内にはこのほか、実習室、和室、多目的室、防音設備を完備した大・小練習室、ホワイエなどを配し、幅広い用途で利用可能。施設中央は中庭を囲む回廊型に設計し、中庭を使った屋外イベントも想定している。
 愛称は、市が公募した865点の中から広田小の高橋琉唯君(3年)が考案した作品に決まった。式典で表彰状を受けた高橋君は「奇跡の一本松のように、市民文化会館もたくさんの人が集まるような場所になってほしい」と喜んでいた。
 12日は、午前9時から午後3時まで一般向けに施設内を公開する。問い合わせは一本松ホール(℡22・9666)へ。
 感謝状、表彰状受領者は次の通り。
 ▽感謝状=㈱NTTファシリティーズ東北支店、㈱関・空間設計、㈱佐武建設
 ▽表彰状=高橋琉唯(愛称最優秀賞)、藤井陽(同優秀賞)、高橋迅(同優秀賞)、大谷桂太(緞帳デザイン)