地域の魅力発信へ 県の移住コーディネーター 松田さん(陸前高田)と伊藤さん(住田)

▲ 陸前高田市の松田さん

住田町の伊藤さん

 県は、本県への移住希望者の相談や受け入れに関する窓口業務を担う市町村・NPO職員を「岩手県移住コーディネーター」として登録する制度を創設した。3月末現在で、陸前高田市と住田町を含む21市町村の35人を登録。陸前高田市からは市地域おこし協力隊の松田道弘さん(33)=遠野市小友町出身=が登録され、住田町からは前任者から役割を引き継ぐ町企画財政課政策推進係主事の伊藤将来さん(29)が近く登録となる見込み。2人は移住・定住促進に向けた情報発信に意欲を見せている。

 

気仙からは2人登録

 

 県移住コーディネーターは、県が東京都に設置した「いわて暮らしサポートセンター」「県U・Iターンセンター」など相談窓口との連携体制を構築するとともに、コーディネーターの活動をPRすることで本県への移住者の受け入れ拡大、定住促進を図るもの。県は先月23日、移住ポータルサイト「いわてイーハトー部に入ろう」(http://www2.pref.
iwate.jp/~uji_turn/)に専用ページを設置。コーディネーターのプロフィールなどを掲載して移住希望者に発信している。
 コーディネーターが担うのは、移住希望者に対する住まいや仕事、行事・習慣など地域の暮らしに関する情報などや、移住者からの相談支援、定住に向けた支援。
 陸前高田市の松田さんは昨年4月、同市の地域おこし協力隊に着任。同市の移住定住総合支援業務を受託するNPO法人・高田暮舎(岡本翔馬理事長)に所属し、移住者向けの事業所紹介や空き家バンクの管理運営、地域コミュニティーと移住者との顔つなぎといったアフターケアなどに取り組んでいる。
 移住相談窓口を担当する松田さんは、自身が遠野市から神奈川県横浜市、現在の陸前高田市小友町へと移住した、いわゆるJターン者。地元で介護の仕事に就いたあと神奈川に移り、鉄道会社で働いていたが、「将来的に岩手でまちづくりに関わる仕事がしたいという思いがあった。タイミングよく、陸前高田市で地域おこし協力隊を募集していることを知り、岩手に戻ることを決断した」と経緯を語る。
 陸前高田で仕事を始めてから丸1年。はじめは知らない人や地域との接し方で悩むこともあったが、今ではなじみの顔が増え、高田暮舎の仲間とも絆を深めながら、自分らしい活動の形を模索。「移住相談をされる方は、それぞれが人生の分岐点に立ち、未来を懸けている人たちだと思っている。そんな方々の思いを一つでも支援できるよう、2年目も懸命に相談に応じたい」と意気込む。
 陸前高田の魅力について「住民の方々が、コミュニティーの輪に入った人それぞれの存在を大事にしてくれること」と笑顔を見せる松田さん。「今後はほかの地域のコーディネーターとも連携してみたい。県外の人たちとのつながりをもっと広げ、陸前高田のファンを増やせるようがんばります」と意欲を燃やす。
 一方、住田町で移住者への物件紹介、ニーズに応じた情報の提供なども担っている町企画財政課の伊藤さんは、前任者が林野庁へと出向となったことからコーディネーターを引き継ぎ、今月中にも登録となる見込み。
 同町では、全国で人口減少が進む中、移住者を呼び込むのは人の取り合いにもつながることから、まずは生まれ育った地域に住み続けてもらおうと「定住」の促進にも注力。子育て世代や新婚世帯向けに空き家の紹介も行っている。
 「人と人との交流があり、気軽に接しやすいし、自然に囲まれた中でのんびりできる。施設がそろっているわけではないが、車での内陸部へのアクセスもいい」と住田の魅力を語る伊藤さん。自身も住田町出身で、岩手大学卒業後に地元に戻ってきており「生まれ育った土地なので、愛着がある。みんなにも住み続けてほしい」と願う。
 登録後の目標として「今後は、仕事の紹介にも対応していければ。住田のいろんな魅力を伝えるために情報発信していきたい」と力を込める。