新型コロナウイルス/県が対策本部で対応確認 「緊急事態宣言」の拡大受け

 新型コロナウイルスの感染拡大で、政府が16日夜、緊急事態宣言を全都道府県に拡大したのを受け、県は17日、対策本部で対応を協議。この中では、基本的対処方針改定に伴い「繁華街の接待を伴う飲食店等」の休業要請に向け、関係団体、市町村などと調整を図ることを確認。さらに、都道府県をまたいだ人の移動の防止へ、施設の使用の制限や外出自粛の方向性についても検討する。気仙3市町は国や県の方針等を踏まえ、感染症の感染拡大防止に努めていくとしている。

 

外出自粛の方向性等検討
小中学校は休校措置に

 

 緊急事態宣言は、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づくもの。政府は今月7日、東京や神奈川、大阪などの7都府県に出したが、感染症の拡大に対応するため、すべての都道府県に拡大した。
 発令済みの7都府県に加え、北海道や愛知県、京都府など6道府県を特定警戒都道府県に位置付けた。発令期間は5月6日(水・祝)までで、国民に対し、大型連休に向けた不要不急の帰省や旅行など都道府県をまたぐ移動の自粛、人との接触機会を避けることなどを求めている。
 達増拓也知事は、11回目の県対策本部員会議で県民向けにメッセージを発出。「5月6日まで大型連休期間を含めて、不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいで人が移動することは極力避けなければならない。政府からの要請であるとともに全国知事会が一致団結して取り組むこととしており、本県からも県民及び県外の皆さんにお願いする」と呼び掛けた。
 そのうえで「現に全国各地でクラスターが多数発生している、繁華街の接待を伴う飲食店等については、利用を強く自粛してもらいたい」と強調。「県としては県民の命と健康を守ることを最優先にしつつ、社会・経済へ負の影響を抑えるための対策をしっかりと行うので、地域、企業、団体などオール岩手で乗り越えよう」と説いた。
 「接待を伴う飲食店等」については、先行した7都府県への緊急事態宣言後に政府から追加で全国的に自粛要請された。達増知事は会議後の会見で、「休業の要請に向けて調整するのが、科学的合理的な対応と考える」と説明。
 県内には対象とされる施設が約600カ所あり、「それ以外の分野もしないと決めたわけでもない」とも指摘した。
 佐藤博教育長は緊急事態宣言に伴う学校休業を現時点で要請しないことを表明。「県教委の対応としては、文科省のガイドラインや他県の状況を踏まえる。県内で感染者判明の場合、保健福祉部や市町村教育委員会と相談し、適切に対応する」と説明した。
 休業が必要になった場合は「学習指導の在り方、子どもの居場所などの備えを調査する」という。
 また、宣言と別に現行で児童・生徒や保護者の中で感染症対策について十分説明を受けても、登下校や学校での活動に不安を感じる場合、部活動の大会出場などと同様に公欠扱いとすることも明らかにした。「学校に相談のうえ、学校長判断で欠席扱いとしないことも可能な旨、県立学校長、市町村教育長あてに情報提供した」と述べた。
 達増知事は会議に先立ち、全国知事会の緊急対策本部会議に県庁からウェブで参加、発言した。この中で「都道府県をまたいだ不要不急の移動を抑止するよう、全国の知事の皆さんと連携したい」などと発言した。
 緊急事態宣言の拡大を受け、気仙3市町もそれぞれ今後の対応を検討。感染拡大防止に向けた対策を継続、強化していくこととした。
 大船渡市教委は17日、市内の小中学校を22日(水)から5月6日まで休校とする方針を固めた。登校日がある今月21日(火)までに、児童・生徒への休校期間中における生活面などの指導、周知徹底を図る。保護者には「児童・生徒の不要不急の外出は自粛を」などと呼びかける見込み。部活動は18日から自粛する。
 市は現在、公共施設の原則休館措置を行っているが、18日からは屋内外の体育施設とリアスホール、市立図書館も、5月6日まで原則利用休止とする。末崎町の碁石海岸インフォメーションセンターも、同日まで臨時休館。世界の椿館・碁石は、19日(日)から休館に入る。
 陸前高田市は17日、感染症対策本部会議を開き、緊急事態宣言を受け、新たに市民文化会館「奇跡の一本松ホール」、各地区コミュニティセンター、各学校体育館を臨時休館すると決めた。
 市内の小中学校は17日から24日(金)まで臨時休校。県立高田高校も同じ期間、臨時休校している。
 市は18日、県の方針を踏まえ、同本部会議を開く。現在、同会議を週に1度開催しているが、今後も必要性がある場合は臨時で会議を開くこととしている。
 戸羽太市長は「全都道府県に拡大すると知ったときは正直驚いた。これまでも対策を講じてきたが、さらに厳しくしていかなければいけないと思っている。これまで発信してきたことをさらに周知するとともに、市役所で人数を減らしても支障を来さない課においては、平日に休んでもらうなどの仕組みも考えていきたい」と話す。
 住田町は17日、新型コロナウイルス対策本部会議を開催。引き続き、社会体育施設、学校体育施設の利用を5月31日(日)まで制限し、各種イベントの中止、縮小、延期も同日まで要請していくことを確認した。
 町教育委員会は同日、臨時校長会議を開催。町内小中学校長と協議を行い、22日から5月6日まで、小中学校を休校することを決めた。