ピーカンナッツ産地化目指し苗木試験植樹 経過観察し最適品種選定へ 陸前高田(別写真あり)

▲ 将来的な産地化に向け、国産苗木を試験植樹

 陸前高田市で20日、北米原産の「ピーカンナッツ」苗木の試験植樹が行われ、国内唯一の産地化を目指した取り組みが現地で始動した。市内2カ所で苗木の育成状況を観察し、同市の気象条件に適した品種を絞る狙いで、市は年内を目標に育苗用の農業用ハウスを建てる計画。産地化へのプロジェクトを推し進める民間の農業法人も立ち上げることとしている。

 

年内に育苗用ハウス整備計画

 

 苗木は、鹿児島県指宿市から取り寄せた9品種90本。異なった立地条件を持つ場所で観察することとし、まずは米崎町と横田町の農地2カ所に決めた。
 植樹本数は米崎町25本、横田町65本に分けた。20日は雨の中、市の担当職員が横田町に植える苗木のうち最後の5本を植え、順調な生育を願った。
 苗木はいずれも生産性に優れた接ぎ木苗で、3、4年後には実がなる見込み。国内で栽培実績を持つ同県の米本仁巳農学博士からの指導を受けながら育苗のノウハウを学ぶ。さらに、連携協定を結ぶ東京大大学院農学生命科学研究科の協力を得ながら、陸前高田市に適した品種を選定することとしている。
 ピーカンナッツは、北米原産のクルミ科落葉樹の実で、国内ではアーモンドの100分の1程度の消費量しかない希少性を持つ。抗酸化作用が高く、アンチエイジングや認知症予防などの効果が明らかになりつつあり、世界的にも市場での需要が高まっているという。
 市は、新たな産業の創出、地方創生に向けた中長期的な取り組みと位置づけ、ピーカンナッツプロジェクトを立ち上げ、平成29年7月、同大とピーカンナッツを使ったチョコレート製造・販売業を手がける㈱サロンドロワイヤル(本社・大阪市)との3者で、共同研究にかかる連携協定を結んだ。
 年内にも米崎町内に育苗用のハウスを整備する。農業法人の立ち上げ、試験植樹地の拡充を計画し、将来的には耕作放棄地や津波浸水地への植樹という青写真も描く。
 市地域振興部の阿部勝部長は「新たな産業の創出に向けていよいよスタートとなり、大変うれしい。来年以降、試験栽培の場所を拡大するなどしながら、産業振興に寄与していきたい」と力を込める。