広田町の漁港にケイマフリ1羽 絶滅危惧種の海鳥飛来 陸前高田市内で初確認(別写真あり)
令和2年5月2日付 7面

博物館学芸員が発見
陸前高田市広田町で、絶滅危惧種の海鳥「ケイマフリ」1羽が飛来しているのが確認された。4月27日〜29日に、市立博物館の学芸員らが視認。バードウォッチャーの間でも人気のあるかわいらしい鳥で、同館によると市内で確認されたのは今回が初めて。発見者も「まさか陸前高田で見られるとは」と驚いている。
第1発見者は、同館主任学芸員で、市教委管理課の熊谷賢(まさる)文化財係長(53)。27日に別用で広田町後浜の漁港を訪れた際、岸壁そばで海面に浮かんでいる1羽を見つけた。
全長は40㌢程度で、赤い脚が大きな特徴。全身黒褐色をしているが、この時期は喉や胸、腹などが白色になる「冬羽」の姿となっており、特徴が合致したためケイマフリと確認した。
同館などによると、ケイマフリはウミスズメ科の海鳥。国内では北海道の天売島(てうりとう)などで繁殖し、美しい鳴き声から「海のカナリア」とも呼ばれている。
世界的に数は減少傾向にあるといい、絶滅の恐れがある野生生物をまとめた環境省の最新版レッドリストでは、絶滅危惧II類(VU、鳥類43種)に入っている。
市史によると、市内で確認された野鳥は約220種。このうち、ウミスズメ科は、ウミガラス、ハシブトウミガラス、ウミバト、ウミスズメ、ウトウ(地方名はなどり)の5種類となっている。
熊谷係長は、市内を中心に見つけた野鳥の種類をリスト化する「ライフリスト」を趣味で作成している。リストに希少な海鳥が新たに加わり、「かわいらしい鳥で人気がある。直接見ることができてうれしい」と喜ぶ。
29日に写真を撮影した同館の浅川崇典学芸員(30)も「北海道などが繁殖地の鳥。まさか陸前高田で見られるとは思いもしなかった」と驚きを隠せない様子だった。