新型コロナウイルス/弁当宅配で健康観察 6月の事業開始目指す

▲ 新たな事業実施に向けて協議した感染症対策本部会議

 陸前高田市は、新型コロナウイルス感染拡大で経済的な打撃を受ける飲食・宿泊業者を支援すると同時に、外出自粛で孤立化が懸念される高齢者の不安軽減を図る新たな取り組みを始める方針を固めた。飲食店などの弁当を週に1度、独居高齢者宅に届けて見守り支援につなげるもの。食事代の6割余は市が負担し、利用拡大を促す。6月1日(月)のサービス開始を目指す。

 

独居高齢者の見守り+飲食店の経済的支援

 

 1日に開いた市の新型コロナウイルス感染症対策本部会議で新たに決めた市独自の支援策。対象は、感染した場合重症化しやすいとされる70歳以上の市民のうち、住民税非課税の単身者約1000世帯とした。
 1食当たりの食事代600円のうち、市が400円を負担する。実施期間は現段階で6月からの2カ月間を想定している。
 配食は1世帯につき週に1回で、夕食時に届ける。プロの味で低栄養の改善を図るとともに、配達時に高齢者の健康状態などを把握する。
 市は、同事業の費用を盛り込んだ本年度の介護保険特別会計補正予算案を、今月中旬に開会予定の市議会臨時会に提出する。
 サービスを受けるには申請が必要。今月中に、対象となる独居高齢者にサービスに関する案内などを届け、申請手続きを受け付ける。移動困難者が多いことも見込まれるため、手続きなどでできる限り負担をかけないような仕組みの構築を急いでいる。
 一方、料理を提供する事業者の公募も始める。対象の事業者は市内約70の飲食、宿泊業者とし、15日まで市地域振興部商政課で受け付ける。
 市内でも感染症予防の観点から住民によるサロン活動などの自粛が相次ぎ、その一方で家にいる時間が長くなることで心身の機能低下が懸念される。
 こうした課題を解消するべく、市は高齢者をはじめとした健康維持への対策も検討している。4月下旬には、市保健福祉総合センター所長の石木幹人医師が健康上の不安や悩みにこたえる専用の電話相談窓口(℡080・5732・2131)を開設した。
 市福祉部の齋藤晴美部長は「高齢者の見守りと事業者への経済的支援をマッチングさせ、一つの事業で幅広い人を支援できるような仕組みとしていきたい」と力を込める。