イサダ記録的不漁に終わる 4月は異例の水揚げゼロ 大船渡市魚市場

▲ 前年の1割ほどの水揚げ数量に終わったイサダ

 大船渡市魚市場をはじめ県全体のイサダ水揚げは今季、記録的な不漁に終わった。大船渡の数量は605㌧で、前年の1割ほど。特に、4月の水揚げがなかった。累計金額も前年比8割減の6000万円余だったほか、県全体の数量も1561㌧で、前年を7000㌧近く下回った。

 

数量は前年比89%減の605㌧

 

 イサダはツノナシオキアミの別称で、主に養殖や遊漁のエサとして流通。例年2月下旬から3月上旬に解禁され、漁況が良ければ4月末ごろまで水揚げが続く。水揚げされるカゴに入った桜色の魚体は、春の魚市場を色鮮やかに彩る。
 養殖用のエサや、レジャー向けとしての需要に加え、県内では近年、さらなる需要拡大を見据え、付加価値向上に向けた研究にも注力。イサダから肥満抑制効果などがあるオイル成分を抽出してサプリメントを開発しようとの取り組みも進んでいる。
 今季の初水揚げは3月4日。初日、21隻が30㌔入りカゴ合わせて約3400個、計103㌧ほどを水揚げした。
 同月は100㌧を超える日が数日あったものの、31日以降はゼロが続き、4月も水揚げがないまま終わった。魚市場関係者も「4月に水揚げがないのは、前代未聞。親潮の張り出しが弱いといった影響が考えられるが、とにかく沿岸漁場にイサダがいなかったということ」と話し、肩を落とす。
 大船渡の水揚げ実績は、605・4㌧で、前年の5590㌧を89%も下回った。1㌔あたりの単価は、前年の54円から倍近い101円に上昇した。それでも数量減をカバーするまでには至らず、累計金額は6135万円と、3億665万円となった前年の20%にとどまった。
 県全体でも3月のみの水揚げに終わり、県によると、数量は1561㌧で、金額は1億4270万円。前年同月の実績を4389㌧、1億8143万円下回った。前年は、4月にも数量で2499㌧、金額で9121万円の水揚げがあった。
 大船渡市魚市場の令和元年度実績は、イサダの不振に加え、主力魚種であるサンマや秋サケの記録的な不漁により、数量は前年度比17・1%減の3万5960㌧に。これに伴い、金額(税込み)も同17・0%減の53億9728万円と大きく落ち込んだ。
 本年度に入ってからは、新型コロナウイルスの影響が流通分野にも波及。関係者は各主力魚種の漁況や海洋環境推移に加え、全国的な新型ウイルスの影響収束の見通しも注視している。