被災跡地でイチゴ生産 三陸町越喜来の栽培施設が完成 陸前高田市の㈱リアスターファーム(別写真あり)

▲ 三陸町越喜来に完成した新施設でのイチゴ生産に向け、苗作りに取り組む太田代表取締役

 陸前高田市米崎町の㈱リアスターファーム(太田祐樹代表取締役)が、大船渡市三陸町越喜来字沖田地内(浦浜地区)の被災跡地に整備したイチゴ栽培施設が完成した。竣工したのは、昨年度整備分の育苗用ハウス、栽培用ハウス1棟、作業棟などで、気仙地方の気候を生かしたイチゴの周年栽培に取り組むべく、現在は6月下旬予定の初定植に向けた苗作りが進む。本年度はイチゴ約500㌔の収穫と、残る栽培用ハウス3棟の整備を計画しており、将来的には年間20㌧の出荷を目指す。

 

来月下旬に初定植へ

 

 太田代表取締役(43)は新潟県小千谷市出身で、新潟大学大学院で博士号を取得。その後、岩手県農業研究センターの研究員として平成26年に大船渡市に移住し、陸前高田市米崎町の園芸研究施設でイチゴの周年栽培を研究した。
 研究では、夏は冷涼で冬は暖かいという県沿岸部の気候に着目。冬から春にかけてが旬のイチゴを年間を通じて収穫する技術開発に成功し、平成30年に就農、昨年2月には同社を立ち上げた。
 三陸町越喜来のイチゴ栽培施設は、東日本大震災による被災跡地を活用し、大船渡市が復興交付金効果促進事業で整備した産業用地(面積約0・9㌶)に建設。同社は国と県から地域経済牽引事業者の認定を受けており、地域未来投資促進法に基づく地方創生推進交付金を活用し、施設建設やイチゴのブランド化に向けたソフト事業などを進める。
 昨年度と本年度の2カ年計画で、間伐材を用いた木骨ハウスによる育苗用ハウス1棟、栽培用ハウス4棟、作業棟1棟などを整備。施設面積の合計は約5000平方㍍。
 初年度分の施設は昨年9月に着工し、今年3月に引き渡しを終えた。人員体制は、太田代表取締役と従業員2人、研修生1人の4人。
 今後は、四季なりイチゴの「信大BS8─9」「なつあかり」「夏の輝(かがやき)」を生産。完成した育苗用ハウスでは、この3品種の苗を育てている。
 本年度、越喜来の施設では今年定植を予定する1万6000株と来年分の8000株を育苗する計画。米崎の栽培施設も合わせ、総数3万3000株を作るという。
 来月下旬には、新しい栽培用ハウスに信大BS8─9の苗3000株を植える予定。育苗用ハウスでは、親株から生えた茎・ランナーから出た新芽を新たなポットに植えて苗を増やす作業を行っている。
 太田代表取締役は「イチゴは苗で生産の8割が決まるといわれ、今が大切な時期。今のところは順調に育っている」と話し、苗の状態を確認していた。
 6月下旬に定植したイチゴは、8月に収穫する計画。その後、9月には3品種すべてを定植し、11月の収穫を見込む。
 イチゴの生産と並行し、同社では生産に携わる人材育成に向けたマニュアル作り、来年からの本格化を見据える体験農園の運営に向けた準備も進める。夏イチゴのブランド化や加工についても、関係機関と連携しながら取り組んでいく考えだ。
 太田代表取締役は「今年はまずフル生産できるようにするための体制を作り、取引先のニーズ把握にも努めながら出荷につなげていきたい」と話している。