物流の拠点が稼働へ 茨城・常総市のSCC完成 大船渡のアマタケ

▲ 茨城県常総市に完成したアマタケのSCC(同社提供)

細やかなオーダーに対応するピースピッキング自動仕分け装置などを備える(同社提供)

 大船渡市に岩手本社を置く鶏肉加工・販売の㈱アマタケ(甘竹秀企代表取締役社長)が、茨城県常総市内で整備を進めてきたストックコントロールセンター(SCC)」はこのほど完成し、18日(月)から稼働を始める。在庫管理や物流の効率を高める狙いで、「南部どり」ブランドのさらなる発信へ役割が期待される。
 南部どりの生産・加工・販売を一貫して手掛けている同社。平成23年3月の東日本大震災では盛町の本社や気仙両市の生産施設が被害を受けたが、各機能を大船渡に集約して同年7月に生産ラインを再開させた。
 「サラダチキン」のヒットを受け、27年にはこれら加熱加工品の生産効率向上を図ろうと、宮城県多賀城市で新工場の運用を開始。同社商品の引き合いが強まる中、保管だけでなく、各工場での生産品を集約し、得意先配送コースごとに仕分けする「通過型物流在庫コントロールセンター」との位置付けで、SCCの建設を決定。従来、運送会社に委託していた仕分け荷造り出荷を自動化・省人化することによる、物流コスト削減と効率向上を視野に入れた。
 建設地は、近くに高規格幹線道の圏央道があり、常磐自動車道や東北自動車道などの高速交通網へのアクセス利便も高い。昨年着工し、今月に入って完成を迎えた。
 敷地面積は約3399平方㍍。建物は鉄筋コンクリート造平屋建てで、延べ床面積は約1964平方㍍。自動仕分け装置、保管能力約500㌧の冷凍庫などを備え、出荷数量(段ボール箱)は1日平均で約5000ケースとなる。
 このうち、自動仕分け装置は、数品程度の細やかな注文に対応するピースピッキングの作業労力削減を図ろうと導入。注文データを入力することで自動的に仕分けされるもので、1日当たり28㌧の処理能力を持つ。ピースピッキングにかかる従来の作業人数は20人ほどだったが、5分の1程度まで省けるという。
 18日から稼働を始める計画。従業員は、現地採用を含めて17人。櫻田誠一執行役員同センター長は「生産から発送までを自社で一貫して手掛けられるようになる。全国の皆さんによりよい商品を届けるため、気を引き締めていく」と決意も新た。
 将来的なエリア配送の共配化や配送管理へのAI導入なども描く。甘竹信吾常務取締役は「物流業界は人手不足に悩んでおり、メーカーとしても効率的な取り組みを探ることで貢献していきたい」と話している。