第21代議長に渕上氏選出 副議長・三浦氏、監査・紀室氏に 大船渡市議会
令和2年5月16日付 1面
最多会派の光政会から初
大船渡市議会(定数20)は15日、改選後初となる臨時会を開いた。全議員による投票の結果、第21代となる議長には最多会派の光政会に所属する渕上清氏(61)=無4期、盛町=が選ばれた。光政会からの就任は初めて。副議長は新政同友会の三浦隆氏(60)=無6期、同=に決まったほか、議会選出の監査委員に光政会の紀室若男氏(68)=無4期、末崎町=を選任することに同意した。常任委員会ポストも決まり、4年の市政の一翼を担う新体制が決まった。
改選後初の臨時会
独自経済対策予算も可決
臨時会には、先月26日投開票の市議選で議席を獲得した20人全員が出席。開会後の議事は、最年長議員の東堅市氏が仮議長となって進められ、各議員の自己紹介、議会事務局職員と当局幹部の紹介、仮議席指定のあと議長選挙が行われた。
議長の選挙方法は出席議員全員による単記無記名投票で、法定得票数は5票。投開票の結果、渕上氏14票、無効6票となった。
渕上氏は「中立公平で円滑な議会運営を図り、前議長の下で培われた指導力を駆使し、元気ある議会を目指すとともに、市民福祉の増進につながる議会となるよう努める所存」と述べた。
続く副議長選挙では、三浦氏が13票、無効7票の結果に。三浦氏は「市民とともに歩む議会であり続け、切磋琢磨(せっさたくま)しながら自己研さんを深めていきたい」と語った。
正副議長は同市の場合、議会運営への精通度や対外的な発言力などを踏まえて一定の当選回数を持つ議員が選ばれ、改選を機に一新される流れが続いている。
今任期の会派構成は、光政会(8人)と新政同友会(5人)、自由民主・無所属の会(4人)、日本共産党大船渡市議団(2人)で、無会派は1人。過半数を占める会派はなく、複数会派による調整の行方が注目された。
定数20となって以降、前々任期と前任期はいずれも、議長は第2会派の新政同友会、副議長は最多会派の光政会から選出。平成20年に初当選の議員で結成した同会はこれまで、所属議員の当選回数が浅いことなどから議長ポスト獲得は見送ってきたが、渕上氏は改選で当選4回となり、これまでの会派内外での調整力などが信頼を集めたとみられる。
副議長は、現職最多の当選6回を重ね、合併前から市議を務める三浦氏に。正副議長とも名前が出たのは1人だけだったが、無効票の多さも目立った。委員長ポストを含めた会派間調整では、一部で距離を置く動きもあったという。
同日はこのほか、本議席指定をはじめ総務、教育福祉、産業建設の各常任委員会委員、議会運営委員会委員の選任、気仙広域連合議会議員や一部組合議会議員の選挙などを実施。
市当局から提出された国民健康保険条例と後期高齢者医療に関する各条例の一部改正、一般会計と国保特別会計の補正予算も審議し、すべて可決された。いずれも、新型コロナウイルス感染拡大に伴う支援事業や対策費計上に伴う措置。
一般会計は歳入歳出にそれぞれ3億7900万円を追加し、総額は263億8200万円。増額分の内訳は▽生活困窮者自立支援288万円▽新型コロナウイルス感染症対策緊急雇用支援2000万円▽地域企業経営継続支援補助5000万円▽保育所、認定こども園及び放課後児童クラブ等への子ども用マスクの配布204万円▽中小企業事業継続支援金交付3億円──となっている。
このうち、事業継続支援金交付事業は市の独自対策で、1日の臨時会で可決した財源では飲食業や宿泊業などとしていたが、今回の補正計上で製造業や卸売業、小売業にも拡大。売り上げが減少していれば、1事業者に定額30万円を支給する。財源は財政調整基金を充てる。
各常任委員会と議会運営委員会の構成は次の通り。◎は委員長、○は副委員長。カッコ内は所属会派。
【総務常任委員会】◎今野善信(新政同友会)○森亨(光政会)西風雅史(新政同友会)伊藤力也(光政会)平山仁(自由民主・無所属の会)船野章(同)
【教育福祉常任委員会】◎森操(無会派)○紀室若男(光政会)佐藤優子(同)菅原実(同)金子正勝(自由民主・無所属の会)山本和義(日本共産党大船渡市議団)三浦隆(新政同友会)
【産業建設常任委員会】◎小松龍一(光政会)○東堅市(新政同友会)渡辺徹(光政会)船砥英久(自由民主・無所属の会)滝田松男(日本共産党大船渡市議団)熊谷昭浩(新政同友会)
【議会運営委員会】◎伊藤力也(光政会)○今野善信(新政同友会)佐藤優子(光政会)西風雅史(新政同友会)菅原実(光政会)金子正勝(自由民主・無所属の会)滝田松男(日本共産党大船渡市議団)
正副議長と監査委員の略歴
渕上清議長(ふちがみ・きよし)平成22年の補選から連続4選。総務常任委員会副委員長、議会運営委員会委員長などを歴任した。大船渡高卒。会社員。盛町字木町1の6。昭和33年6月5日生まれ。61歳。
三浦 隆副議長(みうら・たかし)平成12年の初当選から連続6選。教育福祉常任委員会委員長、監査委員など歴任。早稲田大卒。無職。盛町字内ノ目1の15。昭和35年1月25日生まれ。60歳。
紀室若男監査委員(きむろ・わかお)平成20年の初当選から連続4選。産業建設常任委員会委員長、副議長などを歴任。末崎中卒。建築業。末崎町字大豆沢93。昭和26年10月6日生まれ。68歳。