上長部グラウンド存続模索 6月末に利用期限 サッカー協会有志 陸前高田

▲ 月に利用期限を迎える上長部グラウンド(写真は昨年10月の早稲田カップ)

 6月末に利用期限を迎える陸前高田市気仙町上長部の仮設グラウンドについて、市サッカー協会(菊池純一会長)の有志が存続の道を模索している。元サッカー日本代表の加藤久氏らの尽力で芝生化されたグラウンド。市に代わって維持管理費を工面できるかが最大の課題で、今月末には市に対し、方針を示さなければならない。間もなくサッカー場が入る高田松原運動公園が完成するが、「高田松原のグラウンドができたうえで、上長部グラウンドの利用価値を探るために期間限定でも残すべき」との考えだ。

 

維持費工面が最大の課題

 

 上長部グラウンドは東日本大震災後、校庭に応急仮設住宅が立った旧長部小児童のための仮設運動場として整備された。
 当初は土のグラウンドだったが、熱心に被災地支援に当たった加藤氏が芝生化に動き、Jリーグやサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」などが全面的に協力。平成24年秋に緑に生えそろった天然芝のグラウンドが誕生した。
 同協会によると、整備に携わったボランティアは延べ2万人超。女子サッカー界のレジェンド・澤穂希さんが発起人となり、敷地内にはクラブハウスが建てられ、大型テレビが設置されるなど徐々に環境が整った。
 市からの委託を受け、地元の一般社団法人・上長部の郷(菅野恵二郎代表理事)が管理。国内初のサッカーのナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」(福島県)の芝生化を手がけ、「芝の神様」と称される京都府京都市の松本栄一さんも、整備当初から継続して芝生の育成、管理に無償で携わっている。
 高田松原運動公園は、人工芝のサッカー場や天然芝の多目的広場のほか、第1、第2野球場などが入り、6月に一部施設が開設する予定。スポーツが盛んな陸前高田市の目玉となる運動拠点で、市民からの期待も高い。
 利用が始まれば、上長部グラウンドの必要性が薄まることが見込まれる。サッカー協会内でも同グラウンドを残したいという思いは一致しているが、大半の役員は「自分たちで維持するのは難しい」との見解だ。
 市が上長部グラウンドの地権者約10人に取った意向調査によると、元の畑などに原形復旧するよう求める人は、フィールド外の一部のみ。主な撤去工事は、グラウンドを囲むネットを取り除く作業のため、利用期限後もグラウンドの姿は残ることとなる。だからこそ一部有志は「まだ使える。なんとか維持したい」と可能性を探り、多くの地権者からも同意を得た。
 また、有志は「撤去されれば、これまで関わってきた全国の人たちの思いまで消えてしまう」と懸念する。一方、市は撤去の場合、数多くの支援を受けてきた上長部グラウンドの証しを伝えられるよう、クラブハウスの一部を高田松原運動公園に移設することなどを検討している。
 存続を望む同協会理事の松本正弘さん(51)は「天然芝のグラウンドはプレーヤーにとって貴重な環境。3年でも、5年でもいい。『残しておけば誘致できる大会もあったのに』などと後悔しないためにも、なんとか存続できるよう考えていきたい」と話している。