高校生が合同会社を設立 IT技術で地域課題解決へ 大船渡高3年の白澤君

▲ 「Novalumo合同会社」を設立した大船渡高3年の白澤君

 県立大船渡高校3年の白澤賢斗君(18)がこのほど、映像やホームページの企画、制作などを手がける「Novalumo合同会社」を設立した。「起業は昔からの夢だった」と語る白澤君。独学で勉強してきたプログラミングなどのIT技術を駆使し、「大船渡をより明るいまちにしたい」と今後の活動に意欲を見せる。

 

社名は「Novalumo(ノバルーモ)」

 

 白澤君がプログラミングを始めたのは、小学5年生のころ、ネット上で動画を投稿し広告収入を得る「YouTuber(ユーチューバー)」になりたいと思ったことがきっかけ。さまざまなパソコン操作を覚えていく中でソフト開発に興味を持ち、システム開発の有名ソフト「Visual Studio」(マイクロソフト社)で勉強を始めた。
 簡単なソフトを自作できるようになった中学生時代は、「プログラミングを地域社会に生かせないか」と考えるように。2年生で本格的に「起業したい」と思うようになり、大船渡市が「スマートキャリア推進事業」の一環で盛町に開設した「大船渡テレワークセンター」に通うようになってからは、同事業を受託する㈱地域活性化総合研究所(新沼謙治社長)のプログラミング塾・上級クラスでさらに技術を磨いた。
 高校入学後は、米国テキサス州オースティンで開かれる最先端テクノロジーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」で研修に臨み、世界各国のIT技術に触れたり、同市の㈱キャッセン大船渡(田村滿社長)が主催する市民向け公開講座「大船渡まちもり大学」でまちづくりのノウハウなどを学ぶなど、起業に向けてIT分野での知見を深めながら準備を進め、先月から会社設立のための書類などを作成し、今月8日に登記が完了した。
 同社は▽映像、ホームページ等の企画、制作、販売▽文化事業の企画、制作、興行▽情報技術関連における教育事業▽インターネットによる広告業務および番組配信――の事業を軸に、地域課題の解決やITに関連したイベントの企画・運営などを行う。社名は、国際補助語のエスペラントで、「新しい」という意味の〝Nova〟と「光」という意味を持つ〝Lumo〟を掛け合わせ、「大船渡や世界に希望をもたらす新たな光のような企業でありたい」という思いを込めた。
 現在は会社の活動の第一歩として、教育と医療の2分野に対してITでの関わり方を模索。大船渡市教委には、市内小中学校のホームページ作成や、それをポータルサイト化して学校間の情報共有を可能にするなどの計画を盛り込んだ事業案を提出したほか、医療分野では、新型コロナウイルスの影響も考え、病院などの待合室での混雑を回避する受付システムの開発に取り組んでいる。
 「起業のためにさまざまな場所に行ったり、イベントに参加する自分の行動力は大船渡高校での『大船渡学』で身についたもの。周囲の仲間たちと切磋琢磨(せっさたくま)できる環境で学習できたから今の自分がある」と白澤君。「大船渡をよりよいまちにしたいという一心で会社を設立した。ITという分野は地方では避けられがちだが、地域課題の解決を妨げる要因は、ITで介入することで解消できると考えている。まずは会社として、地域にITを受け入れてもらうことを目指したい」と見据える。
 今後は動画共有サイト「YouTube」や、クラウドファンディングも活用しながら、事業を進めていく予定で、「代表社員として主に1人で活動していくことになるが、若者の純粋さを常に持ち続け、事業を頑張っていきたい」と力を込める。