医療従事者を支えよう マスクや防護具届ける 陸前高田の秋山さんら有志
令和2年5月20日付 6面
陸前高田市の三陸アーカイブ減災センター代表理事・秋山真理さんや県外の医師ら有志は、医療用に使われる高性能マスクや防護具を個人・企業などから集め、医療従事者に届けるプロジェクトを展開している。新型コロナウイルス感染の危険に身を投じながらも職務を行う医療従事者を支え、全国からの感謝を伝える取り組みとして注目を集めている。
全国からの寄付を現場へ
このプロジェクトは、医療現場で使用される「N95」「DS2」と呼ばれる高性能マスクやサージカルマスク、防護具を全国の個人や企業から集め、希望する医療従事者に届けるもの。秋山さんら有志が「〝最前線にマスクと防護具を〟実行委員会」として活動している。
マスク等医療物資の寄贈の協力呼びかけは、ツイッターやフェイスブックなどSNSを活用。秋山さんが情報収集と発信、寄付の受け取りと仕分け、送付などの作業を一括して担っている。
秋山さんによると、寄付は18日現在ですでにマスクだけで2万枚を受け付けたという。大手ジーンズメーカーや建築業者、シンガー・ソングライターのスガシカオさんなど多方面から寄付があり、支援の輪は今も広がっている。
秋山さんは普段、同市竹駒町の同センターで、東日本大震災の津波で流された写真や記念品などの「思い出の品」を地域住民に返却する活動を行っている。
ウイルス感染が全国的に拡大した3月、秋山さんは、同センターで作業用にストックしていた高性能マスクを医療従事者に贈りたいと思い、帝京大学ちば総合医療センター(千葉県)の知り合いの医師・萩野昇さんに相談。医療現場の切迫した状況を知り、萩野さんら各地の医師とともにプロジェクトを立ち上げた。
世界的に希少となっているN95マスクは、使用期限が切れているものでも「メーカーに確認済みで、フィルターに異常がないものであれば使える」として受け付けている。秋山さんは、過去の震災や新型インフルエンザの流行時に同マスクを備蓄品として購入し、期限切れで処分を見込む企業にも寄付を呼びかける。
また、医療現場には物資だけでなく、寄付した人からの応援メッセージも届けている。「家族と離れて戦ってくださっている皆さま、本当にありがとうございます」「どうか皆さまが安全に職務を全うし一日も早く平穏が戻るように願っています」といった温かな言葉が、医療従事者らを支えているという。
秋山さんは「多くの方々から寄付への協力をいただき、感謝している。医療現場にマスク等がない現実を切実な問題と受けとめ、これからも活動を続けていきたい」と力を込める。
物資寄贈の問い合わせは同実行委のメール(covid19maskjp@gmail.com)へ。マスクを希望する医療機関などは入力フォーム(https://forms.gle/vTCpem8Cd7fBkGdG7)から申し込みを。
プロジェクトでは、活動にかかる経費(送料や仕分け、保管場所の維持費、消毒薬など購入費)の寄付も合わせて呼びかけている。
ロータリークラブがマスク寄付
大船渡、陸前高田、世田谷南(東京都)の3ロータリークラブ(RC)は18日、医療用のN95マスク合わせて2400枚を「〝最前線にマスクと防護具を〟実行委員会」に寄付した。
マスクは、大船渡RCと友好クラブ関係にある世田谷南RCが備蓄していたもの。「第一線で不眠不休の活動を続けられている医療従事者の方々に、感謝と応援の気持ちを添えて届けたい」と、大船渡、陸前高田両RCと3者合同で同実行委に託すことにした。
この日は、同実行委のマスク保管庫がある陸前高田市高田町の商店街「たまご村」で贈呈式を実施。大船渡、陸前高田両RCの関係者が、同実行委で共同代表を務める秋山真理さんにマスクを手渡した。
大船渡RCの鈴木敏彦会場監督(68)は「奉仕活動の一環で贈らせていただいた。医療従事者の方々の健康が守られますように」と願っていた。