4分野の推進策まとめる ILCアクションプラン まちづくりとの連動へ
令和2年5月26日付 1面

大船渡市はこのほど、ILC(国際リニアコライダー)アクションプランをまとめた。「産業」「観光・交流」「生活・居住・滞在」「医療・教育・社会」の4分野に分け、受け入れ体制充実やまちづくりとの連動を見据えた実施計画をまとめた。市では、市民や民間企業、関係機関などと連携・協力しながら押し進めるとしている。
ILCは、全長20㌔の地下トンネル内に直線上の加速器を設置し、電子と陽電子を衝突させて宇宙の謎を解明する大型の実験施設。建設候補地には、北上山地が有力視されている。
東北ILC推進協議会が平成30年に公表した「ILC東北マスタープラン」では、大船渡市をILCのコアゾーン(中核的な地域)に、大船渡港を建設における物流拠点の一つに位置付ける。市はILC実現による効果を最大限に生かすための取り組み指針として、同年度に「ILCと共生するまちづくりビジョン」と「港湾・物流・道路」分野のアクションプランを策定した。
昨年度は、まちづくりビジョンのさらなる具現化に向け、産業など4分野のアクションプラン策定に向けた取り組みを展開。民間の関係者を交えた策定委員会などを経て、プランを取りまとめた。
計画では昨年度から4年間を「準備期」、その後の9年間を「建設期」、以降の20年間は「運用期・成熟期」と設定。市内各関係機関との連携に加え、気仙2市1町の各資源を生かした連携・補完による推進も見据える。
このうち、産業では「ILCの派生産業が、将来的に当市に立地する(起業者に選ばれる)ための施策を進めるとともに、積極的な起業の促進や産業界でのイノベーションを生むためのプラットホームづくりを行う」と掲げる。準備期にあたる昨年度から、事業者連携支援や交通円滑化を進めている。
観光・交流では、外国人対応の円滑化推進に向け、積極的な情報発信や体験観光メニューの充実・強化などを図る計画。人や食など、地域の魅力・特色にふれる交流イベントの実施・支援も行う。
生活・居住・滞在では、施設建設地周辺を中心に1万人の人口増加があるとされる中、多文化共生に向けたまちづくりや、空き家・空き地をはじめとする遊休ストックの活用などに注力。多様な人々が安心して子育てできる環境整備にも力を入れる。
医療・教育・社会では、外国人や来訪者に対応した医療・防災体制の構築を図るほか、子どもたちをはじめ市民の科学や異文化への関心を喚起。英語や科学各分野の学校教育充実なども図る。
市では計画策定に合わせ、プランをまとめた冊子を発行した。
問い合わせは市企画政策部ILC推進室(℡27・3111)へ。