地域のなりわいつなぐ 新分野で隊員を募集 地域おこし協力隊

▲ 農家人口の減少が進む住田町

 住田町は本年度新たに、農業を「つなぐ」地域おこし協力隊の募集を開始した。人口減少や高齢化によって担い手が減少していく中、同協力隊員が実際に農家で技術や経営ノウハウを習得しながら農業そのものを将来に承継するための〝住田型モデル〟構築に挑んでいく。三大都市圏または地方都市などに居住する人を対象に、6月19日(金)まで隊員を募集する。

 

農業承継のモデル構築へ

 

 地域おこし協力隊は、三大都市圏をはじめとする都市地域等の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらうことで人材の定住・定着を図りながら地域力の維持・強化を進めようとの制度。住田町ではこれまでに町内5地区に根ざした活動や「観光振興」、イチゴ栽培に関する「ストロベリープロジェクト」の2分野で協力隊員を募っている。
 同町は総面積の約90%が森林を占めており、魅力的な地域資源が数多く存在している。一方で、進行が止まらぬ人口減少や高齢化によって集落機能の維持が困難になりつつあり、農業の担い手不足による耕作放棄地の増加といった課題に直面している。
 町が平成29年に策定した第6次農業基本計画をみると、同町の人口は昭和55年には9000人を超えていたが、以降30年間で約3000人が減少して平成27年には6023人となった。
 人口減少により農家人口(農家の世帯員)も大きく減少し、昭和55年に6044人を数えたが平成27年には1267人にまで減った。農業就業者も昭和55年は2187人で人口全体の24%を占めていたが、平成27年には549人と9・1%にまで減っている。
 同町を含めた中山間地域には耕作面積の小ささ、ほ場の点在、高い高齢化率といった課題が共通し、それが担い手不足に拍車をかけている。同町においても新規就農者支援など国の制度を活用した支援を展開しているが、後継者が出てこない。
 このため、今回は「新規」ではなく「引き継ぐ」という点に焦点を当て、農業人口減少に対応する明確な答えがない中で、さまざまな形を模索し、条件不利地域において農業をつないでいく「モデル体系」を構築しようと、新たな分野の地域おこし協力隊を募集することになった。
 募集対象は▽応募時点で20歳以上45歳未満(性別は問わない)▽三大都市圏または地方都市等(過疎、山村、離島、半島などの地域に該当しない市町村)に居住し着任後に住田町に移住できる人──など。任期は3年間。
 隊員は着任後、米、野菜農家で研修を積みながら、自らも将来的には農業での自立を目指して地域にあった承継モデルを目指していく。
 町農政課では「生活できるぐらいの収入を確保できる見込みがないと、農業も継続できない。条件不利地域でも農業で生活できる人たちが育つモデルができてくれれば」と期待を込めており、研修や先進地の視察などのバックアップを行っていく考えだ。