地域と協働で教育振興を 市内小中10校対象 コミュニティ・スクール導入へ

 陸前高田市は本年度、市内小中学校の全10校で、地域が学校運営に参画するコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)導入に取り組む。多様な経験を持つ住民が学校の活動に関わることで教育の質を高められるとともに、住民間のつながり強化、地域活性化にもつながり、学校・地域双方にメリットがある仕組み。育てたい子ども像を共有し、「地域とともにある学校」づくりを展開すべく連携を強める。


住民らが学校運営に参画

 

 コミュニティ・スクールは、学校運営協議会を設置した学校を指す。平成29年の改正地方教育行政法で、全国の公立学校への設置が努力義務化された。
 協議会の主な役割は▽校長が作成する学校運営の基本方針を承認▽学校運営について教委、校長に意見を述べることができる▽教職員の人事について教育委員会に意見を述べることができる──の三つ。
 特徴は、学校運営に地域の声を反映させ、地域と一体となって特色ある学校づくりを進められることで、校長などの管理職が異動しても、学校と地域が組織的な連携を継続できる。地域住民が当事者意識を持って学校に関わることにもつながり、防災教育や学校を避難所にする場合の地域との協力体制構築など、さまざまな波及効果が期待されている。
 市教委は昨年度、県教委から同スクールに関する研究指定を受け、学校運営協議会規則を策定し、各校に周知を図った。本年度の1年間は試行期間に位置づけ、地域とともに制度の定着を目指している。
 協議会は、校長や保護者代表、地域住民ら10人程度で構成。今月以降、各校で開かれる1回目の会合では、校長が学校運営の基本方針を委員に説明し、協働で行う活動などについて熟議する。年度末には再び委員を招集し、年間の成果を振り返り、次年度につなげることとしている。
 竹駒小は、18日に初会合を開く計画。これに先立ち、5月のプール清掃やサツマイモの苗植え行事を同スクールに通ずる協働活動ととらえ、保護者や町民の参加も呼びかけ、世代を越えて交流を深める機会とした。
 志田知美校長は「もともと地域と連携する基盤は出来上がっているが、コミュニティ・スクールは、その体制のさらなる強化につながる仕組み。本年度はどんな児童を育てていきたいか、またどんな地域としていきたいかといった方針を共有し、段階的に活動を具体化させていきたい」と見据える。
 市教委学校教育課の千葉賢一課長は「経験豊富な幅広い地域の人と触れ合う中で、さまざまな学びの場が生まれる。児童・生徒の主体性を養うきっかけともなるよう推進していく」と話している。