町長「解散報告受けていない」  議会定例会で明らかに 三陸木材協関係者から

▲ 三木の解散報道を巡る町長報告も行われた定例会

 住田町の神田謙一町長は、9日開会した町議会6月定例会の冒頭、一部報道機関が今月1日付で町が約4億円を融資している三陸木材高次加工協同組合(三木)が解散を決めたと報じたことについて、同組合理事長、理事から聞き取りした内容を報告した。同組合では5月29日に臨時総会を開き、資金繰りが厳しいことから今後の方向性について協議。町長は、同組合が今後、弁護士に相談し将来の方向性を決めていくとの方針を確認したと述べ、解散を議決したとの報告はなかったことが明らかになった。

 

一部報道受け聞き取り

 

 神田町長は6月1日付の報道を受け、町が設置した「対策チーム」として5日に理事長や理事を呼び、聞き取りを行ったと説明。この中で▽臨時総会を5月29日に組合事務所で開催をした▽総会案件は資金繰りが厳しいことから現在の状況を組合員に報告し、今後の方向性を協議した▽今後は弁護士に相談して将来の方向性を決めていきたい──の各内容を確認した。
 そのうえで町長は「現在も工場は稼働中であるが、資金繰りについては非常に厳しい状況にあるとの報告を受けており、今後の動向に注視したい」と述べた。町顧問弁護士とも相談し、対策チームで検討を重ね、議会との協議も経て対応する方針も示した。
 さらに約4億円に上る町の林業振興資金貸付金について、ランバーとともに毎月50万円ずつ返済された時期もあったが、昨年7月以降は返済されていない現状にも言及。「昨年1年間、債権回収に向けて事業体に対し、どう返済するのか、今後の運営をどうしていくのか問いかけてきたが、事業体からは債権の減額を要望するばかりで、具体報告には至らなかった」とも語った。
 引き続き行われた一般質問では、荻原勝、水野正勝、佐々木信一、佐々木初雄各議員(いずれも無所属)が登壇。佐々木信議員はこの問題を取り上げ、今後の従業員の雇用確保対応を質した。
 神田町長は「町としては事業を継続させたいという思いはあるが、運営側の努力も当然欠かせず、思いが通じない部分もある。従業員が頑張っているという事実も踏まえ、今後どうあるべきか対策チームや議会の皆さんと協議したい」と答えた。同日の議会終了後、神田町長は東海新報社の取材に対し、「解散を決めたという報告は受けていない」と語った。
 トップ登壇の荻原議員は、新型コロナウイルスについて、「新型コロナ時代の町の防災対策をどのように進める考えか。特にも、3密を回避した避難所の運営が重要と考えるが、どのように対応していくのか」と質問。
 神田町長は「基本的な対応方針として確実な避難所の確保、過密状態の防止、避難者の健康管理と衛生管理の徹底、感染が疑われる避難者への適切な対応、避難してくる住民への協力の要請を実施していきたい」とし、十分な避難スペースの確保や避難所の衛生管理を徹底し、健康相談に応じる体制の構築などを行っていくこととした。
 地域経済の活性化について取り上げたのは水野議員。新型ウイルスに係る新しい生活様式の普及により、インターネット通販や宅配サービスの利用拡大が想定される中、町の経済活性化も考慮し、高齢者などの「買い物弱者」に対する支援が重要だとして当局の考えを求めた。
 神田町長は「現状を踏まえ、できるだけ現状の仕組みを生かしていきたい。買い物弱者に対する支援は、サービスがたくさんあることで分散し、小売店の減収も予想されることから段階的に行っていく必要があるととらえている。まずは現在、配達サービスや移動販売を行っている小売店が継続していける支援が必要だ」との考えを示した。
 佐々木初議員は、県による護岸工事が進められている気仙川の洪水対策について、台風や大雨時に沢水への逆流を防ぐための「フラップゲート」が閉じる構造を取り上げ、フラップゲートが閉じた際に沢水が行き場を失う恐れがあるとして、氾らん防止策を質問。
 神田町長は「フラップゲートが閉じるのは気仙川の水位が当該沢水の水位を上回った場合となり、気仙川は河道掘削や流域を広げる工事が行われていることから完成後はより多い流量に対応できるようになる」と説明したうえで「このため、増水時においても河川の水位が上がりにくくなることから、気仙川の水位が当該沢水の水位を上回る可能性はかなり低くなると考えられる。町としては、完成後において雨量が多いときなどの状況をまずは把握し、その状況を見ながら必要であれば有効な措置を検討していく」と答えた。
 今定例会の日程次の通り。
 ▽10日=本会議(一般質問)▽11日=休会▽12日=本会議(議案審議、請願審査報告)