不漁直撃も黒字決算 元年度利益は565万円 大船渡魚市場㈱株主総会

▲ 利益金処分案などを議決した株主総会

 大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)の第69期(平成31年4月1日~令和2年3月31日)定時株主総会は13日、大船渡市大船渡町の同市魚市場で開かれた。同期実績は秋サケやサンマ、イサダなどの不漁で数量、金額とも前年度比で大幅な減少を強いられたが、経費削減に努め、565万円の当期利益を確保する黒字決算となった。
 総会には、本人と委任状合わせて106人(株式数割合87・57%)が出席。冒頭、千葉社長は今後の漁況や新型コロナウイルスが及ぼす影響に不安をにじませながらも「浜の活気が希望を与えてくれることを信じながら、夏漁やサンマ、秋サケと好漁になることを願い、水揚げ促進に向けて日々業務に精進する」とあいさつ。
 開設者の戸田公明市長も「漁業資源の確保や漁業経営の安定、担い手確保、貝毒対策など、水産業が直面している課題に対応するため、各種施策を総合的、効果的に推進している」と述べ、水産業のさらなる発展に向けた意気込みを示した。
 続いて議事に入り、69期の水揚げや経営の概況報告、貸借対照表と損益計算書を承認。利益金処分案なども原案通り決定した。
 報告によると、同期の水揚げ実績は累計数量が前年度比17・2%減の3万5935㌧、金額が同17・0%減の53億9728万円。
 水揚げ実績のうち、定置網漁業はサバやマイワシ、ブリ、サワラなどの好漁を受け、数量は同53・9%増の1万5267㌧、金額は同16・7%増の18億6505万円となった。
 一方、期待された秋サケは、数量が同78・7%減の79・8㌧、金額は同75・7%減の6135万円と、過去最低だった前年度よりもさらに大きく落ち込む「大不漁」に終わった。
 サンマは水揚げ数量が同62・9%減の6443㌧、金額が同35・3%減の20億2796万円。いずれも前年を下回ったが、8年連続で全国2位、本州1位の座を確保した。
 昨年度は、国の方針で公海サンマの漁獲が始まり、地元大型船が出漁。本州では唯一の鮮魚水揚げ港として注目を集め、43㌧が水揚げされた。また、サンマ小型船が出漁すらできない状況を受け、新漁業種として火光利用敷網・たも網によるマイワシ漁獲の試験操業も始まり、数量は4820㌧、金額は3億4181万円だった。
 イサダ漁は数量、金額とも前年比80%台の下落で、親潮勢力の衰退の影響を顕著に受けた形に。サバ、イワシを水揚げした旋網(まきあみ)漁は、数量が同3・9%増の4657㌧、金額は同1・3%増の3億6741万円となった。
 同期は経常利益846万円を計上。法人税などを除いた当期利益は565万円。前期繰越利益と合わせた5909万円を次期繰越利益とした。
 任期満了に伴う監査役の選任では、大船渡商工会議所参与の上野直和氏とマルハチ魚問屋代表の大和田洋太郎氏の再任を決定。3月まで市副市長を務めた髙泰久氏の退任に伴う取締役選任では、4月から副市長となった志田努氏が就くことになった。