技術平準化と所得拡大へ JAおおふなとがトマト生産部会を設立 気仙(別写真あり)

▲ 総会を開き、JAおおふなとトマト生産部会の設立を決定

 大船渡市農業協同組合(JAおおふなと、菊池司組合長)のトマト生産部会設立総会は18日、陸前高田市米崎町の同市総合営農指導センターで開かれた。トマトの栽培品種を統一し、栽培技術の平準化と生産者の所得拡大を図ろうと新たに設立。総会では、設立趣旨や規約、本年度の事業計画と収支予算案などを原案通り決め、部会長には同町の中山進氏(65)を選出した。
 JAおおふなとではこれまで、「こくみトマト生産部会」を運営し、18年間にわたって「こくみトマト」を栽培。しかし、生産者の減少に伴い、契約栽培面積の50㌃を満たせなくなっていることや、技術的な面と単収の確保が思うように進まない状況となった。
 その中で、JAおおふなとアグリサービスが栽培し、全農が推奨するミニトマト品種「アンジェレ」が技術面、単収において安定的だとして、新たな生産品種に決定。同部会は今年2月の総会で、解散をして新たな部会を設立することを決め、3月には「JAおおふなとトマト生産部会設立委員会」(中山進委員長)を立ち上げ、新部会の設置に向けた準備を進めてきた。
 トマト生産部会は陸前高田市、住田町の13生産者らで構成。設立総会にはこのうち8生産者と、来賓や関係者らが出席した。
 総会では、中山委員長が「総会で決める目標の達成に向け、協力をお願いしたい」とあいさつ。来賓の柏﨑明彦市農協常務理事、一守貴志県大船渡農業改良普及センター所長が祝辞を述べ、トマト生産部会の発展を祈念した。
 このあと、▽トマト生産部会の設立▽規約の制定▽本年度事業計画案と収支予算案▽会費の賦課金と徴収方法▽役員選出──の5議案を協議。いずれも原案通り決定し、役員には理事6人の選出を承認した。その後、理事らの互選により、会長なども決めた。
 事業計画によると、本年度は▽トマト栽培管理指導会(7、8月)▽トマト役員会(11月)▽トマト実績検討会(12月)──を予定。計画出荷数量は18㌧(10㌃当たり4㌧)で、販売金額1080万円を目標とする。
 同部会が生産するアンジェレは、ヨーロッパで育成された品種。デーツ(なつめやし)型で、糖度は平均8度以上と高く、リコピン、ビタミンC、フラボノイドが安定的に多く含まれているなどの特徴を持つ。生食はもちろん、加熱するとうまみが増すことから調理用にも適している。
 国内では、全農が試験販売を経て平成24年から種子を一元的に取り扱い、販売を開始。かん水や肥料のやり過ぎによる異常茎や芯止まりが出にくく、ヘタなしで出荷できるなど、生産者の労力削減も図れる品種という。
 各生産者はすでに今年の栽培に着手しており、今月下旬から7月上旬の収穫、出荷開始を目指す。出荷先はすべて関東方面になるという。
 中山部会長は「栽培経験豊富な部会員の皆さんとともに、生産を盛り上げていければ。年間目標の達成に向けて栽培をしていきたい」と話していた。
 総会後は、全農岩手県本部や大船渡農業改良普及センターの関係者らを講師に迎え、トマト出荷指導会も開かれた。
 生産部会の役員は次の通り。
 ▽会長=中山進(米崎町)▽副部会長=戸羽敏夫(横田町)杉山大樹(同)▽庶務・会計=畠山修一(同)▽監事=伊藤清(同)中口貞三(竹駒町)