気仙語検定を実施へ 「帰属意識」高める狙い 陸前高田JCが企画し9月に(別写真あり)
令和2年6月27日付 7面
陸前高田市と住田町在住の若者らで構成される(一社)陸前高田青年会議所(伊東亜希子理事長、JC)の地域の魅力発信委員会(吉田愛委員長)は本年度、気仙地方における方言の継承と地域色を内外にPRする取り組みとして「すみたか ふるさと検定」を実施する。気仙語にまつわる問題を解くことを通じて、陸前高田と住田の魅力も伝えられるような内容とするもので、地元高校生から方言と地域にまつわる聞き取りも実施した。同委員会は9月に特設サイトなどを通じて問題を発信する計画で、「人々の知的好奇心を刺激し、楽しく地域資源について知ってもらえれば」としている。
高校生への聞き取りも
新型コロナウイルス流行の影響を受け、同JCは本年度計画していた事業のいくつかを断念。身体的接触や「3密」となることを避けつつ、地元の人が地域への愛着、帰属意識を持つきっかけとなる代替事業を行えないかと模索してきた。
こうした中、同委員会は地元固有の文化の一つとして、気仙地方の方言に着目。核家族化や東日本大震災をきっかけとした転入、転出によって気仙語話者が少なくなっている現状を踏まえ、WEBなどから誰でも回答できる気仙語検定「すみたか ふるさと検定」を実施することとした。
計画では、9月に特設サイトを開設するほか、東海新報紙上に数日に分けて問題を掲載。WEB上、はがきまたはファクスで回答を送れるようにする。「検定」と銘打つが、正答率を見るのではなく、広く参加してもらうことを目的にしているといい、回答者の中から抽選で陸前高田・住田の特産品、陸前高田商工会発行の商品券をプレゼントする。
この取り組みの一環として同委員会はこのほど、県立高田高校(村上弘校長)を訪れ、2年生12人と懇談。生徒たちから、知っている方言や地元の好きなところ、自慢したいところを聞き取った。
「〜だべっちゃ」「ゴミ投げる(捨てる)」「〜けろ」など、祖父母や地域の人々が使う言い回しについては知っているものの、自身も方言をよく使うという生徒はおらず、また「意識していないので、どれが気仙語なのか分からない」という声も聞かれた。
一方で、誇りに思う部分については、リンゴやカキなどの特産品、気仙大工発祥の地であること、自然の豊かさや伝統行事のことなど、たくさんの意見が挙がった。
今後、同委員会はこの聞き取りも参考にしたうえで、盛岡大学文学部教授で気仙語を研究する新沼史和さんの協力を仰ぎ、問題を作成することにしている。
吉田委員長(37)は懇談後、「生徒の方がいろいろなことを知っていて、こちらが勉強になった。きっと外に出て初めて『これ、気仙語だったんだ』と気づくこともあり、そういう時に地域への帰属意識が強くなるのだと思う。郷土愛を持つという意味でも、言葉は大切。若い世代にも検定に参加してもらいたい」と語った。
そのうえで、同委員長は「新型コロナのため多くの人が集まる事業が実施できない中、少しでも皆さんに楽しんでもらいたいと考えた企画。正解が分からなくても気仙の魅力が伝わるようなものにしたい」と意気込んだ。