起業者支援拠点 あす開業1年 まちなかのチャレンジショップ

▲ 「陸前高田の力になりたい」。つぼ焼き芋の販売で地域活性化への夢を描く萩原さん

 陸前高田市高田町の中心市街地にあるチャレンジショップ「まちなか未来商店街」は6日(月)、本格オープンから1年を迎える。起業者の独立開業を支援しようと市が整備したもので、店舗エリアには7店舗が入居している。市は認知度向上や誘客を後押しすべく、今月中に新たに案内看板1基を増設するほか、照明灯の設置を検討していく。新たな雇用の創出、市街地の活性化へ起業者らの奮闘に期待がかかる。

 

市が誘客図る看板増設を計画

 

 昨年6月下旬から、チャレンジショップでつぼ焼き芋専門店「おいもの日」を営業している東京都出身の萩原威之(たけゆき)さん(38)は「県外からも店を目当てに来てくれるリピーターが徐々に増えている」と手応えを語る。
 都内の民間企業で5年間勤務したあと、平成22年4月、新潟県の上越市役所に入庁。地方で地域活性化やまちづくりに関わりたいと努力してかなえた転身だったが、東日本大震災後、仕事の傍ら被災地でボランティア活動などを続ける中で「もっと直接地域と関わりたい」という思いを募らせ、29年に退職した。
 「まちづくりの伸びしろがある。ここで頑張ろう」と移住先に決めた地が、津波で甚大な被害を受けた陸前高田市。市外から人を呼び込めるような新たな「地域の味」を生み出そうと、かねてより構想を膨らませてきた「つぼ焼き芋」の販売に乗り出した。
 チャレンジショップを販売拠点としながら、市内外で開かれるイベントにも積極的に出店。「つぼ焼き芋を食べて育った地元の子どもたちが、大人になって再び食べたときに『懐かしい。古里の味だ』と思ってもらうのが一番の夢ですね」とハツラツと語り、2年後の独立開業を目指す。
 チャレンジショップは、商業施設「アバッセたかた」の裏手に位置する。ラーメン店やバー、フォトスタジオ、ネイルサロンなど7店舗に加え、地域づくりや移住・定住促進に取り組むNPO法人、まちづくり会社など4団体が入居している。
 愛称は、入居事業者らの意見を反映し決めた。同市竹駒町にあり、被災事業者が入居していた旧仮設商店街「陸前高田未来商店街」(平成30年に解散)の歴史を受け継ぐとともに、「未来を担っていく新たな起業者をチャレンジショップから生もう」という思いが込められている。
 中心市街地にありながら、場所が分かりづらいという指摘もあり、市は人通りの多いアバッセ裏のあずまや付近に、各店の店舗名などを載せた高さ約3・9㍍の案内看板を設置。それぞれの店の軒先に照明を付け、敷地内にある中庭などを明るくする方針だ。
 市地域振興部の阿部勝部長は「チャレンジショップ周辺は歴史ある商業の中心地。かさ上げされた新市街地が元気な商店街となるようサポートしていきたい」と話す。