完成間近で「プレ開園」 県の復旧工事終盤に サン・アンドレス公園(別写真あり)

▲ 復旧工事が終盤を迎え、20日からプレ開園となるサン・アンドレス公園

 東日本大震災で被災し、県が復旧工事を進めている大船渡市大船渡町の大船渡港野々田地区緑地公園(愛称・サン・アンドレス公園)。工事は終盤を迎えて完成間近となっており、県は「プレ開園」として広場やあずまやなどの一部施設を20日(月)から開放する。公園全体の供用は8月1日(土)からの予定。震災前と同様、〝海のまち・大船渡〟を象徴する存在となり、にぎわいや住民交流の拠点としての活用が期待される。

 

20日から一部施設開放

8月1日に本格供用

 

 同公園は、大船渡港野々田地区港湾整備事業の一環として、公共埠頭(ふとう)内に港湾労働者の憩いや市民との交流の場を設けるとともに、港湾内の構築物が与える景観的圧迫感の緩和などを図ろうと整備。平成元年に着工し、同4年3月に完成した。
 愛称の「サン・アンドレス公園」は、慶長16年(1611)にスペイン使節のセバスチャン・ビスカイノが、藩主・伊達政宗の許可を得て松島以北の伊達領沿岸の測量を行った際、大船渡港に入港した日が聖アンドレスの祭日だったことから、これを記念して大船渡湾を「サン・アンドレス湾」と命名した──という故事に由来する。
 全体面積は1・6㌶。大船渡湾や町内を見渡せる高さ約20㍍の展望台をはじめ、外観をスペイン風にデザインしたトイレ、時計塔、あずまや、遊具などを配置。大船渡、大船渡西の両ロータリークラブ、大船渡、大船渡五葉の両ライオンズクラブ、大船渡青年会議所によるモニュメントも設置され、大船渡とスペインとの友好、親善の願いも託された公園だった。
 しかし、9年4カ月前の大津波で公園は被災。その後、大船渡港の防潮堤工事に伴う資材置き場などに利用され、昨年2月から県が復旧工事に着手した。
 面積は従前と同じで、ブランコやすべり台は複合遊具になるものの、園路や芝生、舗装部分などは復旧。震災前と同様にあずまや、トイレも設けられる。公園のシンボルでもある展望台は、修復して再利用した。復旧事業費は約3億円。
 当初は6月末までの工事完了を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で1カ月延びた。工事はすでに終盤に入っており、今月末までには完了する見通し。
 公園内の施設のうち、20日からのプレ開園で利用できるのは、広場、ベンチ、あずまや、展望台。残る駐車場、トイレ、水飲み場、遊具は8月1日から使用可能となる。県はプレ開園、本格供用にちなんだイベントは開催しないという。
 公園の利用に当たっては、▽ごみは自分で持ち帰る▽公園内での花火、バーベキューなどの火の使用は禁止▽たばこの投げ捨て禁止▽ペットはリードを付け、ふんは飼い主が責任を持って後始末する▽自転車やバイク、スケートボードなどの乗り入れはしない──を守るよう呼びかけている。
 県大船渡土木センター河川港湾課の大澤匡弘課長は「市民をはじめ多くの方々に利用していただき、憩いとにぎわいの場になるのが一番。中心市街地を盛り上げる存在にもなれば」と話している。