新型コロナウイルス/交付決定総額3億円に 市独自の「事業所30万円給付」
令和2年7月16日付 1面

大船渡市は、新型コロナウイルスの経済対策として売り上げが減少した事業所に一律30万円を給付する「市中小企業事業継続支援金」の交付状況をまとめた。今月9日時点で、987事業者への交付が決まり、総額では2億9610万円に上る。宿泊・飲食業にとどまらず、建設業や製造業の申請も目立ち、影響の広範化・長期化も浮き彫りになった。申請期限は8月末までとなっている。
幅広い業種が申請
〝第3弾〟拡大分も浸透
この制度は、売り上げ減少に伴い経営困難に陥っている業種の支援策として独自に新設。今年春以降、臨時休店や時短営業などに追い込まれる店舗が増え、実情に合った支援策の必要性が高まっていた。
現段階の支援条件は、今年3~6月のいずれかの月で前年同月よりも売り上げが減少していること。少しでも下回っていれば該当し、一律30万円を支給している。
4月下旬に発表し、5月11日から申請を受け付けた〝第1弾〟の段階では、対象業種を道路旅客運送業(乗り合いバス、タクシー、福祉タクシー、貸し切りバス等)や宿泊業、飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業、旅行業、旅行代理業、運転代行業にしぼっていた。
影響が長期化し、緊急事態宣言も出された状況などを受け、1週間後には〝第2弾〟として拡大した業種の申請にも対応。事業所数が多い製造業(水産品をはじめ食料品、家具・装備品、金属製品等)や道路貨物運送業、理・美容をはじめとした生活関連サービス業等も対象とした。
臨時休業していた店舗の多くが6月までに営業を再開した一方、直接・間接的に影響を受けている業種が顕在化。市は〝第3弾〟でさらに対象業種を拡大し、先月29日から申請を受け付けた。
市商工課によると、市内には平成28年度調査で約2470事業所があり、対象事業者数は2188事業所(88・5%)。緊急事態宣言中も事業継続要請を行った電気・ガス・熱供給・水道に加え、弁護士や司法書士事務所といった「士業」、医療法人や協同組合、NPO法人は対象外としている。
交付状況をみると、臨時休業や利用キャンセルといった直接的な影響を受けた宿泊業や飲食業だけでなく、拡大した業種の事業所も続々と申請。影響の広範化と一定の制度理解がうかがえる。
申請だけをみると、すでに1150件を突破。各業種合わせて1800件程度を想定し、財源も確保している。
政府は、売り上げが半減した事業所に対し、中小事業者は上限200万円、個人事業者は同100万円の持続化給付金で支援。一方、市の制度は1円でも下回っていれば補助対象となるほか、申請書類も簡素化し、幅広い事業者への迅速な支給を優先してきた。
市商工課では「7月に入っても1日で40件を超える申し込みがあるなど、間接的に影響を受けている業種の深刻さも感じられる。漏れなく支援が行き届いてほしい」としている。
申請時は、所定の申請書への記入に加え、業種確認として営業許可証等、売上高確認で台帳や試算表などの各コピーを添付書類として提出。振り込み指定口座通帳のコピーも必要となる。
申請書は、市役所1階の入り口そばで配布しているほか、三陸支所、綾里・吉浜地域振興出張所でも配布。市ホームページからダウンロードもできる。また、同課では自らの事業所が対象となるかどうかなど電話対応にも応じている。
市はこのほか、新たに取り組む宅配やテークアウトを後押ししようと、上限20万円を助成する「飲食業等事業継続活動支援補助金」も創設。広告費や印刷製本費、コンテンツ制作委託費などの各経費分を助成している。
店舗で飲食を提供する事業者(個人含む)か、複数事業者で構成する団体・グループ(任意も可)が対象で、想定は約50件。5月11日から受け付けを始め、先月末までに34件の申請があった。
支援金と補助金の申請、問い合わせは市役所商工港湾部商工課商工・労政係(℡27・3111内線109、111)へ。
業種別の支援金交付決定実績は別表。