新造船に豊漁期待 「第三三笠丸」の進水式 気仙沼で(動画、別写真あり)

▲ ゆっくりと進水していく「第三三笠丸」

 大船渡市赤崎町の鎌田水産㈱(鎌田仁社長)が建造する大型サンマ船「第三三笠(みかさ)丸」(199㌧)の進水式が17日、宮城県気仙沼市の㈱みらい造船で開かれた。同社では、中古で導入した1隻が〝引退〟し、6隻すべてが東日本大震災以降の建造船となる。来月10日(月・祝)には大船渡湾内で披露され、門出を祝う。

 

鎌田水産所有
199㌧サンマ漁船6隻体制に

 

 進水式には、鎌田水産㈱や建造事業の関係者ら約90人が出席。神事では、鎌田社長が「命名の儀」で第三三笠丸の名を読み上げたほか、関係者が玉串を奉てん。支綱が切断されると、船に飾られたくす玉が開き、船体全体を支えるシップリフトがゆっくりと降下して進水し、盛大な拍手に包まれた。
 第三三笠丸は、昨年10月から建造に着手。全長48㍍、幅7・5㍍で、省人化や高性能ソナーを備えるなど、高機能化が図られた。事業費は約9億円。
 水産加工会社1社が大型サンマ船6隻を所有するのは、国内でも例がない。震災後からは4隻増えており、水産業の復興をけん引するとともに、本州1位を誇るサンマ水揚げ拠点である大船渡市魚市場への水揚げ量増加にも期待がかかる。
 同社としても、中古で購入した1隻が役目を終え、震災後に新造した199㌧の大型サンマ船6隻で操業できる体制が整った。同社の鎌田和昭会長は「新たに建造でき、感無量。今年のサンマの漁況はまだ分からないが、きょうの記念をバネとして、豊漁を願いたい」と語り、近年続く不漁打破に期待を込める。
 昨年度の同魚市場へのサンマ水揚げ量は、前年同期比62・9%減の6443㌧で、金額は同35・3%減の20億2796万円。平成11年度以来、20年ぶりに1万㌧を割った。
 今後は試運転を行い、来月10日には大船渡での披露を予定。第三三笠丸を含めた同社の6隻は、同17日(月)の出漁を計画する。進水式で新造船を見上げた清枝光臣漁労長(78)は「新型コロナウイルスにも負けずに、ワンチームでがんばりたい」と話していた。