「旅する銭湯」気仙にも 地域住民らと交流 人力車とともに東北南下(別写真あり)
令和2年7月21日付 3面

「旅する銭湯」としてトラックで回る三宅天真(たかなお)さん(24)=埼玉県=と、東京・浅草を拠点に人力車の車夫をしているユーチューバー・ガンプ鈴木さん(30)の2人が、東北を縦断する旅の一環で18~20日に気仙を訪れた。派手に塗装したトラックの内部には、足湯を楽しめる機能を備え、各地で癒やしを提供。2人は地域住民らとの交流に胸を熱くしながら、ゴールの浅草を目指して南下を続けた。
6月下旬から青森県に入り、今月5日に下北半島の先端に位置する大間町をスタートした2人は、18日に大船渡市三陸町吉浜に到着。三陸鉄道吉浜駅周辺の住民に温かく迎え入れられたほか、19日には吉浜海水浴場の駐車場で市民らと交流を深めた。
三宅さんが改造した1㌧トラックの荷台には、大人数人が入れる風呂おけに加え、ドラム缶風呂も設置。実際の銭湯で働いていた経験も生かし、まきで湯を沸かす。気仙の訪問先では、足湯を楽しめるよう準備した。
数年前から構想があったといい、旅を通じて各地に癒やしを届けようと活動を続ける。三宅さんは「お風呂に入って、争う人はいない。今は銭湯が少なくなってしまったが、和気あいあいとした雰囲気を届けたい」と話す。
一方、人力車を引いて国道45号沿いを南下している鈴木さんはこれまで、アメリカ大陸での旅を続けていた。ビザ更新のため帰国したタイミングで、新型コロナウイルスの影響を受けた。
出国できない状態が続く中、東日本大震災直後に支援活動に入った東北の太平洋岸を思い出した。「ユーチューバーもやっているので、みんなが外に行きにくいなら、僕を通じて知ってもらいたい」と、知り合いだった三宅さんと一緒に行動。日本の伝統文化をアピールしながら、10年目の被災地を目に焼き付けている。
「霧がすごかったけど、海と山が近く、とてもいいところ。また訪れることができれば」と、吉浜の印象を話していた2人。今後も1日あたり約40㌔のペースで移動し、ゴールとしている浅草到達は8月上旬を計画している。