「柿の葉茶」技術伝承と活用へ 地域資源の奥深さ身近に 三陸恵みの会(別写真あり)

▲ 潮風を浴びた葉を採取する参加者

 大船渡市三陸町の女性住民らで組織する三陸恵みの会(古水たま会長、会員8人)主催の「柿の葉茶づくり体験ワークショップ」は26日、同町内で行われた。東日本大震災以降、気仙地方の民家などに多く植えられている小枝柿の葉に注目し、製品化のノウハウを確立しているが、後継者確保などを見据えて体験会を初めて企画。参加者は潮風を浴びて育った地域資源や、町内公共施設の有効活用などに可能性を感じながら交流を深めた。

 

越喜来で体験ワークショップ

 

 同会は、震災を契機として発足した三陸特産品開発研究会が前身。地域資源を使った商品開発に取り組んできた。
 小枝柿は町内だけで1000本以上あるとされ、実は特産品として知られる一方、葉の活用で目立った動きはなかった。近年は、栽培者の高齢化などが原因で実を収穫しない家庭も増えている。
 同会では地域に伝わる「ばあちゃんの技」を引き継ぎ、葉を採取して乾燥後に専用機で焙煎(ばいせん)、滅菌し、ふるいにかけて細かくして商品化。越喜来の道の駅「さんりく」などで販売してきた。
 近年は、高齢化などにより会員数が減少。さらに知名度が低く、製品のアピールにも課題を抱えていた。
 本年度、加工品の付加価値向上や交流人口増加などを見据え、さんりく基金助成事業の採択を受けた。会員以外も参加できる活動の第1弾として「潮風そよぐ畑で葉を収穫しながら、交流を深めよう」と体験会を企画し、気仙3市町から約20人が参加した。
 越喜来浪板地内の越喜来湾を望む傾斜地で、小枝柿の枝を採取。近くのハウス内につるし、枝ごと乾燥させた。
 休憩では、冷やした柿の葉茶で水分補給。ビタミンやミネラル、ポリフェノールが豊富に含まれているとされ、まろやかですっきりとした味を楽しみながら、疲れを癒やした。
 後半は、「遊・YOU・亭夏虫」近くにあり、市などが管理する三陸特産品生産施設に移動。あらかじめ乾燥させていた葉を乾熱滅菌器に入れ、取り出した後は袋越しに手でもみ、細かくした。
 越喜来で作業が完結し、無添加で葉だけを用いた製品作りに触れた参加者は、地域資源を生かす取り組みの大切さを再確認。食品加工用の設備を備えた同施設は近年、同会以外の利用はほとんどないといい、身近な施設の有効活用にも意識を高めた。
 柿の木は、気仙地方の民家などに多く植えられていることもあり、市外からの参加者も目立った。住田町上有住の佐藤りつ子さん(71)は「自宅にも柿があるので、関心があった。葉も使い道があることが分かったし、とても楽しかった」と話していた。
 古水会長(67)は「高齢化が進んでいるが、柿の葉茶はいいものであり、やめないで続けていきたいと思っている。仲間を増やしながらしっかりしたものをつくり、もっと世の中に提供できるようになれば」と、今後を見据える。
 梅雨明け直後の好天が続く時期が、葉に含まれる栄養分が高く、乾燥作業に適していることから、同会では天候状況をみながら再び収穫作業を行う計画。製品パッケージの改良なども進める。
 活動に関する問い合わせは、総務の杉若さん(℡43・1575)へ。