EVを避難所の電源に 災害停電時に無償貸与 市が日産などと連携協定(別写真あり)
令和2年7月29日付 1面

陸前高田市は28日、日産自動車㈱(本社・神奈川県横浜市、内田誠社長)や日産の県内関連会社、陸前高田市の東北㈱(浅間香織代表取締役)と、電気自動車(EV)を活用したまちづくりに関する連携協定を結んだ。災害時、各社は市にEVを無償貸与し、避難所の電力源として活用して安全・安心のまちづくりにつなげる。
市と協定を結んだのは、日産自動車、岩手日産自動車㈱(本社・盛岡市)、盛岡日産モーター㈱(同)、日産プリンス岩手販売㈱(同)、日産チェリー岩手販売㈱(同)と東北の計6者。
締結式は高田町の市コミュニティホールで行われ、代表者が協定書にサイン。屋外で電気供給の実演も行われた。
日産自動車は平成30年5月から、国内の環境負荷低減や地域の災害対策などにEVを活用する「ブルースイッチ」という取り組みに力を入れている。災害時も継続して電力を供給できる体制構築の力になろうと、全国の自治体や企業と連携協定を結んでおり、陸前高田市は47事例目で、県内では初めて。
同社によると、EV「日産リーフ」は、1台当たり避難所の3日分の電力を供給可能という。災害による停電時、市の要請に応じて県内販売会社や東北が無償でEVを無償貸与し、指定避難所の電力源として役立てる。
市は協定に基づき、東北が年度内に導入するEV2台を公用車として借りる計画。内閣府の「SDGs未来都市」に選定されていることから、走行中に排出ガスを一切出さないEVの普及を通じ、環境負荷の低減にも取り組む。
日産自動車北日本リージョナルセールスオフィスの佐竹伸一部長は「今後も国内各地で発生した災害時に日産リーフを『走る蓄電池』として活用していく。協定を機会に陸前高田市が取り組む災害に強い持続可能なまちづくりに向け、グループ一丸となってサポートしていく」と意欲を語った。
戸羽太市長は「SDGs(持続可能な開発目標)達成に向け、地方も環境問題についてしっかり考えなければいけない時代。災害時に電気自動車から電気を供給できるのは市民の安全安心につながる。協定を自分たちが取り組めることをしっかり行うための一歩としたい」と話した。