新型コロナウイルス/気仙在住者対象に PCR検査センター開設(動画、別写真あり)

▲ 開設された検査センター内で行われた検体採取のリハーサル

感染有無の判定に特化

 

 大船渡市は29日、気仙圏域における新型コロナウイルス感染症のまん延などに対応した同市臨時診療所「地域外来・PCR検査センター」(発熱外来)を設置した。気仙在住者のウイルス感染の有無を判定する検査に特化した施設で、同日は関係者による検体採取などのリハーサルを実施。かかりつけ医の受診を経た予約制で、運用は8月5日(水)から始まり、当面は毎週水、木曜日に予定している。

 

運用開始は8月5日

かかりつけ医経由の予約制

 

 設置主体は市で、陸前高田市と住田町、気仙医師会、県立大船渡病院、県大船渡保健所が協力。開設場所は、地域や住民の混乱を防ぐため公表していない。
 大船渡市では設置に向け、臨時診療所設置運営経費1900万円を盛り込んだ補正予算を計上。診療所設置に関する新条例も制定し、今月から施設整備作業に入った。
 開設に合わせて内覧会とリハーサルの公開が行われ、同市や協力機関の関係者ら約60人が出席。
 はじめに、戸田公明市長が「多くの方々から多大な支援を受けて設置することができた。気仙圏域にとっても、大変意義深い」と述べた。
 リハーサルでは、患者が診療所を訪れてから検査するまでの流れが公開された。患者は、かかりつけ医から交付された「検査予約票」を示し、看護師が撮影で記録する。酸素飽和度や体温の確認後、透明の遮へい板越しに待機している医師が問診し、検査窓から手を通して患者の鼻から検体を採取する流れとなっている。
 検体採取の従事者はサージカルマスクやキャップ、フェースシールド、手袋などを着用。患者1人当たりの検査時間は約30分をみており、終了後には患者に対して注意点などが記された書面が手渡される。
 書面では、検査結果が出るまでは公共交通機関の利用は避け、自宅待機を要請。石けんや消毒液を用いた一般的な衛生対策の徹底や毎日の体温測定などを求めている。
 検査結果判明までの期間は2~3日程度。検査センターから電話で連絡があり、後日改めて通知する。
 結果が「陰性」の場合も、かかりつけ医から検査後1週間をめどに体調確認の連絡がある。「陽性」が判明した時は感染症指定病院への入院が必要となる場合があり、保健所から指示が出る。
 今後の診療は予約制で、5日以降の毎週水、木曜日の午後0時30分~2時30分に行う(12、13日は休診)。医師、看護師、医療事務、事務職員各1人の4人体制で対応する。
 検査対象者は、気仙3市町に在住する中学生以上。患者がかかりつけ医を受診し、医師がPCR検査が必要と判断した場合に、臨時診療所に予約する。1日当たりの検査人数は3人まで。診療日・検査人数は、今後の状況によって変更する場合があるという。
 リハーサルに参加した気仙医師会の滝田有会長は「全国的に感染者が増えている時期に設置できたのは、心強く思っている。発熱をきたす疾患者は、新型ウイルス感染者に限らない。陰性を確認したうえで一般治療に移る流れとしては、非常に意義深い施設」と強調する。
 今回の開設により、これまでの保健所や県庁にある「帰国者・接触者相談センター」経由と合わせ、検査に向けては二本立ての体制が整ったことになる。滝田会長は「住民の安心にもつながると思う。開業医としては二次感染や風評被害の懸念もある中、検査をやると手を上げてくださった気仙医師会の医師の方々には、敬意を表したい」とも語った。
 検査センターの設置を巡っては、4月に県知事から県医師会に県内九つの2次医療圏ごとの設置協力要請があったほか、県と気仙の医療、各関係機関などで構成する「新型コロナウイルス感染症医療体制にかかる気仙圏域連絡会議」で、設置検討の方針を確認した。
 5月には気仙医師会が「気仙圏域への『発熱外来』設置に関する説明会」を、各市町・保健所が「発熱外来設置に係る検討会」をそれぞれ開催。今月8、9日も保健所主催の「新型コロナウイルス感染症PPE(個人用防護具)研修会」が聞かれ、医療関係者が防護服等の着脱手順や検体採取の注意点などを共有した。

 

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