三木とランバーが破産申請 ともに事業継続を断念 従業員大半はプレカットが雇用

▲ 三木の事務所に掲示された事業継続断念の告示

 住田町から多額の融資を受けていた同町世田米の三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)が事業継続を断念し、7月31日付で盛岡地方裁判所一関支部に破産申請していたことが分かった。いずれも事業は停止状態となったが、工場が隣接するけせんプレカット事業協同組合は、同日までに退職した両事業体の従業員約40人を1日から雇用したことを認めた。現段階では10億円超に上る町への融資償還の行方は不透明で、町内には戸惑いが広がる。

 

町から多額の融資

 

 三木は1日夕時点で、事業は停止状態。閉鎖された事務所前には、31日付の「告示」が貼られていた。
 弁護士名義で「経営努力を重ねてきたが、今般倒産のやむなきに至り、事業継続を断念した。31日付で盛岡地方裁判所一関支部に破産を申し立て、数日内には破産手続き決定がなされる見込みで、法的手続きで倒産処理が実施される」などと記されていた。
 一方、ランバーの債権者らには、1日までに弁護士から同支部による「破産手続開始申立受理票」のコピーが送付された。同日も敷地内には従業員の姿が見られたが、関係者によると従業員には前日に破産に関する説明があり、1日は残務整理的な業務だったという。
 また、けせんプレカットの泉田十太郎理事長は、東海新報社の取材に対し「三木、ランバーで勤務していた従業員のうち希望者約40人をプレカットの従業員として受け入れた。資金繰りが厳しい状況下でがんばってきた従業員は、財産ととらえている」と語った。
 プレカットでは法的な調整手続きを前提としながらも、雇用を守る観点から両事業体の設備や事業内容を引き継ぐことも選択肢の一つに入れて対応を協議するという。
 三木は平成10年に林業事業所など17団体で設立され、主に防腐加工などを施した構造用集成材を製造。事業所を構える木工加工団地内には、気仙と釜石地域の林業関係8団体で14年に設立されたランバーの工場があり、丸太を集成材用ひき板(ラミナ)に製材、乾燥して三木などに供給する。
 けせんプレカットは、建築事業者の各工法に対応した柱やパネルなどを製造。三木・ランバーに対し、経営支援を行ってきた。
 両事業体は、平成19年に経営危機が判明。町から約7億9000万円の公金融資を受けて再建を進め、26年度から年度当たり約3100万円を町に償還する計画だった。しかし、定められた額の償還ができない状況が続き、27年度の償還は222万円。28年度は450万円にとどまった。
 このため、町は29年、両事業体や連帯保証人に立木未収金を含めた計10億円超の支払いを求める調停を大船渡簡易裁判所に申し立てたが、不調に終わった。その後は両組合の代表理事らに催告書を出し、一括返済か具体的な返済計画の書面提出を求めていた。
 今年の町議会6月定例会の冒頭には、神田謙一町長が三木の経営状況などについて報告。一部報道機関が6月1日付で町が約4億円を融資している三木が解散を決めたと報じたことについて同組合理事長、理事から聞き取りし、解散議決の報告はなかったものの、経営陣は弁護士に相談し将来の方向性を決めていくとの説明を受けたことなどを明らかにしていた。
 神田町長は「事実確認をしつつ、顧問弁護士、対策チーム、議会と協議しながら対応を進めていきたい」と話している。
 三木などの厳しい資金繰りは、町議会でもたびたび取り上げられてきた。このまま破産手続きが進んだ場合、融資金の回収はよりいっそう不透明になる。破産の影響を最小限に抑えられるか、町当局の手腕も問われる。