負債額合計は17億円に 町がきょうの臨時会で報告 破産申請した三木とランバー

▲ 破産を申請した三木、ランバーが入る木工団地

 住田町から多額の融資を受けていた同町世田米の三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)が事業継続を断念し、7月31日付で盛岡地方裁判所一関支部に破産申請したことを受け、町や取引先関係者らが対応に追われている。両事業体の負債合計は、現時点では約17億円に上る。10億円超の未収金を抱えていた町は、4日の町議会臨時会で報告するほか、数日後にも臨時会を開き、何らかの対応策を示すとみられる。
 破産申請については、町側には今月3日付でそれぞれの事業体の代理人弁護士から通知があった。㈱帝国データバンクによると、負債額は三木が約10億円、ランバーが約7億円だが、さらに膨らむ可能性があるという。負債額10億円以上の大型倒産は近年、住田町ではなかった。
 工場が隣接するけせんプレカット事業協同組合は、両事業体の従業員のうち約40人を今月1日から雇用。法的な調整手続きを前提としながらも、雇用を守る観点から両事業体が担っていた製材、集成材事業を行うことも選択肢の一つとして捉えている。
 町は3日、情報収集を進めながら、今後の対応を検討。神田謙一町長は「当初目指していた両事業体の事業継続、雇用の確保は、プレカットの協力を得てクリアできたのではないか。新たなステップへの一歩と捉えている」と語った。
 町では顧問弁護士や対策チーム、議会と協議しながら対応を急ぐ方針。4日に開かれる町議会臨時会においては、町から両事業体の破産についての報告が行われる見通し。その後にも臨時会を開き、町としての何らかの対応策を示すとみられる。
 一方で、このまま破産手続きが進んだ場合、融資金や立木未収金などを含めた総額10億円超の回収は極めて不透明。このほかにも、取引があった地元事業者などへの影響も懸念される。
 元製材業の町内在住の男性は「いろいろとうわさは聞いていたが…。融資金の行方はどうなるのか」と、町内の80代の女性は「驚いた。これからどうするんでしょうか」と戸惑いをあらわにする。
 融資金回収などの行方については、これまでも町民の関心が高く、町や事業体から説明を求める声が多く挙がっていた。破産の影響を最小限に抑えられるか、町当局の手腕が問われるほか、説明のあり方にも注目が集まっている。
 三木は平成10年に林業事業所など17団体で設立され、主に防腐加工などを施した構造用集成材を製造。事業所を構える木工加工団地内には、気仙と釜石地域の林業関係8団体で14年に設立されたランバーの工場があり、丸太を集成材用ひき板(ラミナ)に製材、乾燥して三木などに供給する。
 けせんプレカットは、建築事業者の各工法に対応した柱やパネルなどを製造。三木・ランバーに対し、経営支援を行ってきた。
 両事業体は、平成19年に経営危機が判明。町から約7億9000万円の公金融資を受けて再建を進め、26年度から年度当たり約3100万円を町に償還する計画だった。
 しかし、定められた額の償還ができない状況が続き、27年度の償還は222万円。28年度は450万円にとどまった。
 このため、町は29年、両事業体や連帯保証人に立木未収金を含めた計10億円超の支払いを求める調停を大船渡簡易裁判所に申し立てたが、不調に終わった。その後は両組合の代表理事らに催告書を出し、一括返済か具体的な返済計画の書面提出を求めていた。
 今年の町議会6月定例会の冒頭には、神田町長が三木の経営状況などについて報告。一部報道機関が6月1日付で町が約4億円を融資している三木が解散を決めたと報じたことについて同組合理事長、理事から聞き取りし、解散議決の報告はなかったものの、経営陣は弁護士に相談し将来の方向性を決めていくとの説明を受けたことなどを明らかにしていた。